
『最高の教師』公式サイトより
注目の邦画が多数公開され、ドラマの素晴らしさを改めて見直すこととなった2023年。本記事ではそれらの作品をより輝かせた20代の俳優にフォーカスを当て、振り返っていく。
出演作こそ多くはないものの、堂々の存在感からどうしても忘れられないのが橋本涼(HiHi Jets)だ。
彼は4月期に放送された「墜落JKと廃人教師」(MBS)で、単独では初となる連続ドラマの主演を飾った。演じたのは高校教師・灰葉仁。いつもやる気がなく、問題行動も多い上に生徒に手を出してしまう“ダメな大人”。だが、好きになった生徒の機微に気付き、要所要所で救いの手を差し伸べ、次第に灰葉自身の過去も明らかになっていく……という、繊細な役だ。
やや気怠げな雰囲気、掴みどころのなさ、ふとした瞬間にこぼれる色気、それでいて絶妙に残る笑ったときのあどけなさと、多面的な魅力を持つ橋本。それが何層にも自身を隠す灰葉という役と溶け合う。近年でも随一の役とのベストマッチを堂々と乗りこなす様は圧巻だった。
2023年は映画『神回』『まなみ100%』や、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)などで存在感を示した青木柚。ただそこに“いる”だけでも目を引く青木だが、特筆すべきはドラマ「往生際の意味を知れ!」(MBS)での怪演だろう。青木は7年前に別れた元カノに異常なほど執着する市松海路を、時に愛情たっぷりに、故に少々気持ち悪く演じ切った。
あの役、ほかに誰が演じられるのだろうか?と思ってしまうほどの難役だが、青木は実にあっさりと市松を存在させているように見せてしまう。独特の存在感、それでいてそこに力みを感じさせないのが彼の強みだ。「変幻自在」とは、まさに青木のためにある言葉のように思う。