ポーチは「その人らしさ」が出てしまう。“他人に与える印象“と“自分の好み”選ぶ時にどちらを優先?
『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。
ごく私的なものを入れて持ち運ぶポーチは、自分と他人、両方から見られる存在です。そしてそのポーチを発端として考えることが自分と他人では違います。プライベートと公と、その境目にあるポーチは、他人に意外な印象を与えたりもします。
私が他人のポーチを見て驚いた記憶は2つほどあります。
一つはたぶん30年近く前。何かの講習会に参加したとき、講義を聞いている最中、隣に座っていた女性がバッグをごそごそと探って取り出した、ナイロン製の真っ赤なポーチには大きなプラダのロゴがありました。講義中にプラダのポーチを見て、ポーチまでプラダを買うんだ!と軽い衝撃を受けたのをよく覚えています。
このときから、ポーチとその持ち主との関係に目が行くようになりました。
次に驚いたのは去年の出来事です。東海道線の上り電車に乗っている最中、目の前の席に座っている女性が、ふいにルイヴィトンのバッグから取り出したポーチに目がいきました。驚いたのは、そのポーチに描かれているイラストが「クレヨンしんちゃん」であったこと。
その女性は「クレヨンしんちゃん」のポーチからリップクリームを取り出して、無造作に唇に塗り始めました。
持っているポーチには、案外とその人らしさが出てしまうようです。
では、私はどんなポーチを持っているのだろうかと、自分のポーチを見直してみると、これが実に古いものばかりなのです。
ポーチというものはバッグほどには壊れがたく、一度買ったらかなりの期間長もちします。長もちすればするほどに、そこには感じたこと、考えたことなどの記憶が積み重なります。どうして買ったのか、あるいは作ったのか、どこへ持っていったのか、何を入れたのかなどなどです。
例えばこの中で一番古いものはランズエンドの旅行用のポーチ。多分95年ぐらいに買ったものです。
これは中の仕切りも多く、ハンガーラックにかけるためのフックもついていて、旅行には最適で、しかもランズエンドなので頑丈な作りです。国内、海外含めて旅行にはいつも持っていくもので、下着や薬、洗剤やカイロなど、仕切りが多いため、いろいろ入れてもごちゃごちゃにならず、大変便利に使っています。




