
いよいよ越前編がスタートした『光る君へ』第22回。
そこに出てきた謎の男が、道長の新たなライバルとなる予感……。
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越前へと到着した為時(岸谷五朗)とまひろ(吉高由里子)。
しかし、最初から問題は山積みだ。宋の商人だという朱仁聡(浩歌)からは、宋から乗ってきた船が壊れ、前国守に修理を頼んでいるが未だに終わらない、という話が飛び出す。
どうやら、越前では国守はお飾り。官吏たちが思うままにやっているようだった。気張る為時に官吏・源光雅(玉置孝匡)は砂金の袋を差し出す。越前のことは自分たちに任せて、為時は懐を肥やし、役目を終えればいい。つまり、すっこんでろ、という話である。これに為時は怒りをあらわにする。自分を愚弄する気か、と。
すると、今度は官吏たちから嫌がらせをされるように……。そんなことをしている暇があるなら! なにかひとつでもためになることはできぬのか! と思わずにはいられないが、これは現代でもよくある話である。時代は変わっても人は変わらないのか。
そんな中、さらに通事の三国若麻呂(安井順平)が殺され、犯人は朱だと官吏の大野国勝(徳井優)が言う。
為時は朱の取り調べは自分が行うというが、国勝は聞き入れない。着任早々、大きな外交問題が発生しそうな事態に、為時は表情を曇らせる。
まひろはと言うと、為時を支え、これまでよりもイキイキしているように見える。贅沢な国守の屋敷ではまひろの部屋もある。用意された墨と筆、紙に少し嬉しそうな表情を浮かべ、さっそく歌を書く姿も。
そんなまひろにはひとつの出会いが待っていた。
越前の国府に向かう途中で立ち寄った敦賀の松原客館。滞在中に浜辺に出ると、そこには宋の装束を身にまとう男性がいた。乙丸(矢部太郎)が呼び止めるのも聞かず、男性に声をかける。
まひろが名乗ると、男性は落ちていた木の枝で砂浜に自分の名前を書いた。その名は「周明」。演じるのは松下洸平だ。

砂に字を書くというシチュエーションは、まひろと道長(柄本佑)の出会いを彷彿とさせる。
まひろは日本語、周明は中国語なのでコミュニケーションはままならないが、通訳を介したり、手探りで意志の疎通をしようとしている。
そう、まひろは周明に興味を持っている。
宋の装束を着ているという時点で気になっただろうし、言葉が通じない、ということも好奇心を掻き立てられるのだろう。道長とのことを振り返ってみると、まひろはどこかミステリアスな人が好きなのもしれない。あと、頭が良いことも好みのタイプとして挙げられそうだ。
で、まひろの言動に周明がわずかに笑みを漏らすのが良い。あまり感情が見えない人のポジティブな表情が垣間見える瞬間というのはキュンとするなあ……とイチ視聴者としても楽しんでしまう。
このあと医師見習いだということも分かる。優しく穏やかな中国語、自分が知らないことを知っている、知らない世界を見せてくれそうな周明はまひろにはとても刺激的な存在のはずだ。
さらにラストには三国殺しの真犯人を連れてくる。そこで発したのは中国語ではなく、日本語。驚きを視聴者に与えて締めくくった。
ミステリアスな佇まいから畳みかけるようにして、正体を明かしていく。
同時に、新たな疑問も浮かぶ。「彼は一体、何者なのか」「その素性は」そう考えてしまっている時点で、周明に心を奪われている。
そして、黙って相手を見つめているだけで、画面に映し出されている情報以上のものを与えてくれる松下洸平はナイスキャスティングとしか言いようがない……。