「やっぱり演技うますぎ!」夏ドラマで圧巻の存在感を放った俳優3選──最も記憶に残ったのは、どのシーンでも“男前”であり続けた“38歳俳優”
暑さの終焉とともに、2025年夏クールドラマの多くが最終回を迎えました。今クールも全ドラマをチェックしたアラフォー筆者が、“改めて”演技の上手さに感銘を受けた俳優3人をご紹介します。
※一部、ネタバレを含みます。
まず、ベテラン俳優のなかで最も印象深かったのは『僕達はまだその星の校則を知らない』(通称・ぼくほし/カンテレ制作)に出演していた稲垣吾郎です。物語の舞台となる共学化した私立高校の理事長・尾碕を演じました。本作は約9年ぶりの民放連続ドラマへの出演となります。
キービジュアルでは、主人公のスクールロイヤー・白鳥健治(磯村勇斗)、白鳥をサポートする教師・幸田珠々(堀田真由)と並んでおり、重要な役どころであると注目していました。しかし序盤では、多少クセがありそうなものの、大人然とした理事長にしか見えません。
ところが、徐々に稲垣らしい存在感を放ちはじめるのです。その大人然とした振る舞いの内側に実は秘められていた苦悩や憤りが滲み出てきます。理性と感情が自己の中でぶつかり合う様子を、稲垣は実に繊細に表現しました。
稲垣吾郎『僕達はまだその星の校則を知らない』
歳を重ねてもままならない大人の葛藤を熱演
健治に対して苛立ちを露わにするシーンでは、ただの八つ当たりではない深い葛藤を感じさせ、観る者を一気に引き込みました。歳を重ねようと、大人然として生徒の前に立つ理事長という肩書があろうと、無視できない感情がある。そのままならさを抱えての台詞回しや、どこか憎めない空気感は稲垣にしか出せない唯一無二の魅力を感じます。 『燕は戻ってこない』(2024年、NHK総合)や映画『正欲』『あんのこと』などでも独特の存在感を放ってきた稲垣の、さらに活躍する姿を観たいと思わせる熱演でした。



