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『ばけばけ』トキに漂う『みいつけた!』の“スイちゃん感”はなんだ?朝ドラと子供番組の意外な共通点

2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合)が、じわじわと人気を獲得しています。ここ数週の視聴率は連続で15%台を記録、右肩上がりに上昇した『あんぱん』の数字に迫る勢いです。 『ばけばけ』は、「怪談」で知られるギリシャ生まれの作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツをモデルに、江戸時代の名残が残る明治初期に生きる市井の人々を描いた作品。小泉八雲をモデルにしたヘブンと、セツをモデルにしたトキの行く末が見どころのひとつです。 じわじわと人気を獲得している本作には、ある人気子供番組との共通点があるように思えます。

脚本のふじきみつ彦氏は子供番組の名手

画像:「連続テレビ小説 ばけばけ Part1」(NHK出版)

画像:連続テレビ小説 ばけばけ Part1(NHK出版)

物語の展開以上に視聴者の心をひきつけているのは、個性的な登場人物や、暗い時代にもかかわらずカラリとした空気感、クスっとできるセリフのやりとりやエピソードの数々です。何の気なしに画面に目を向けていても、自然と引き付けられ笑顔になる、そんな魅力があります。 脚本を担当しているのは、元CMプランナーのふじきみつ彦氏。朝ドラの前作『あんぱん』の脚本・中園ミホ氏に比べ、知名度の点ではやや劣るものの、Eテレの人気子供番組『みいつけた!』では、立ち上げメンバーのひとりとしてキャラクター作りから携わる人物。 メインとなるドラマパート「コッシーとスイ」などの脚本を長年担当している、子育て世代にはお馴染みの人です。『おかあさんといっしょ』で流れる歌の作詞も手掛け、子供のいるパパママなら、一度はその名前を見たことがあるはずです。

1話15分のショートドラマはお手の物

ふじき氏は『阿佐ヶ谷姉妹ののほほん二人暮らし』(NHK)、『バイプレーヤーズ』(テレビ東京系)などで見られるように、登場人物のキャラを最大限に生かした、テンポのいいコメディタッチの作風が持ち味です。
画像:「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(幻冬舎)

画像:「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(幻冬舎)

今まで手掛けた作品も、1時間以上の長尺より30分前後の長さのものが多く、1話15分の朝ドラはお手の物でしょう。 朝ドラで稀にあるのが、1時間以上の大作を主に担当していた脚本家が朝ドラを担当すると、展開が遅かったと思えば急に詰め込みすぎになったり、重い展開が数話続いて離脱されたり、数字的にも作品的にもイマイチという評価で終えること。 ふじき氏は、その点においては全く心配なく、信頼できる作家であると言えます。
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不思議なおかしさ、理解しあうこと…『みいつけた!』との共通点
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