プラセンタ注射は更年期障害にも効果あり。でも、リスクもちゃんと知っておこう
美白や美肌に近づける、疲労回復効果が期待できる、生理不順や生理痛の軽減など、女性にうれしい成分が満載と言われているプラセンタ注射。もしかして更年期障害にも効果を発揮するのでは!? いけした女性クリニック銀座で院長をしている池下育子先生にお話を伺いました(以下、コメントは全て池下先生)。
「国が認可しているプラセンタはメルスモンとラエンネックの2種類ありますが、どちらも効く人と効かない人に分かれます。基本的に当院のような産婦人科では筋肉注射で処方しますが、問題はプラセンタに対する知識がないまま、簡単に打ってしまうこと。
プラセンタは鉱物の血液製剤です。以前、出産や手術での大量出血などの際のフィブリノゲン製剤・血液凝固第IX因子製剤の投与によりC型肝炎ウイルスに感染し訴訟が起きた時のように、何年、何十年先に新たな病気にかかる可能性がある、ということです。
プラセンタ注射を打つ前に必ず、同意書にサインをしているはずです。美容目的で気軽に打つ女性もいますが、同意書には『今は解明されていないけれど、新たな病気にかかる可能性がある』と記されているはずなのです。
また、プラセンタ注射をすると血がつながっている家族内の輸血はできても、献血ができなくなります。献血ができないということは、まだわかっていない血液の病気に関係する可能性がゼロではない、とうことです。
当院では20~30代の妊娠を希望する女性にはプラセンタ注射のメリット・デメリットを伝えて、積極的には勧めていません。ただ、40代以上で、妊娠を考えていない人なら、肌がキレイになる、疲労が回復するなどの効果があるので、主治医と相談してご検討ください」
また、更年期障害を乗り切るためにはプラセンタ注射の前に、適切な病院探しが先決とのこと。
「更年期障害に即対応できるので産婦人科へ行くことがベターですが、まずはかかりつけ医に相談を。関節痛や頭痛といったご自身の症状に合わせた科を受診して、症状に対してのバックグラウンドとなる病気がないかどうか先にチェックしましょう。
早い段階で更年期障害にかかっている兆候があるかどうかを調べたいため産婦人科を訪れる人もいますが、30代はストレスの影響をダイレクトに受けやすい年代。更年期障害の症状をチェックしたら重度のPMSだった、というケースも多々あります。
一般論ではありますが、検査を受けるなら43~44歳頃から。生理の様子を見ながら、生理が始まった2~5日以内に近所の婦人科で診てもらいましょう」
【池下育子(いけした・いくこ)】
1953年青森県生まれ。帝京大学医学部卒業。同大学麻酔学教室助手、国立小児病院麻酔科、東京都立築地産院産婦人科勤務を経て、92年に池下レディースクリニック銀座を開業。働く若い女性や更年期世代の女性の、仕事や人間関係の悩み、心身のトラブル全般に対応。2012年病院名を改称。
【知っているようで知らない「更年期」 Vol.5】
<文/内埜さくら>
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