流行のロング丈シャツドレス、安っぽくない大人の着こなしかた
【モードをリアルに着る! Vol.82/小林直子】
毎年何かしら爆発的に流行るものがあります。最近の例でいうと、ロングカーディガンやガウチョパンツ、ウエストゴムのロングスカートがそれに当たります。
爆発的に流行るとはどういうことかというと、短期間で大量に売り出され、あっという間に広がり、小さな子供から大人までが似たようなものを着用するようになるということです。
これら、その年の「流行りアイテム」には特徴があります。誰でも買いやすい価格であること、どこでも売っていること、着こなしが簡単なことです。
パリコレクションやミラノコレクションで発表されたものが必ずしも流行るとは限りません。なぜならそれは高価であり、手に入れるのが難しく、着こなしが難しいからです。何よりハイブランドのものは素材、パターン、細部とも作りが凝っていて、大量生産には向きません。
一般に流行るものは大量生産に向いたもの、つまり作るのが簡単なものです。
ロングカーディガンは普通のカーディガンの丈を伸ばせば作れますし、ウエストがゴムのパンツやスカートは、ウエスト部分にタックをとったり、ダーツを入れたりするよりもずっと縫製工程が少なく、工賃も安くすみます。
そう考えると、これらの条件を満たし、かつ最近あまり売られていなかったもので、今の気分と合致しているものはロング丈のシャツドレスでしょう。
シャツドレスは普通の腰までのシャツの丈を伸ばせば作れます。パターンも縫製もさほど難しくはありませんから、大量生産に向いています。
幅広い年代が着ることになる「流行りアイテム」の着こなしは、気を付けないと、そこらの子供と同じになってしまいます。
どこでも売っているし、手軽だし、今まで持っていなかったし、買える値段だし、ぜひとも着てみたいという気持ちを抑えるのは難しいでしょうから、それを抑える必要はありません。ただし、少しでもおしゃれに見せたいのなら、着こなしについてはちょっと工夫しましょう。
ピックアップしたマルニのこのドレスは、正確に言うとシャツドレス風のコートのようです。シャツを重ね着しているように見えますが、前開き部分に少し見える裏地がそのままもう一つの袖になっているようで、実際、これは2枚重ねに見える、一着のコートドレスと考えていいでしょう。
ここで提案されているのは、シャツの下にもう一枚シャツを、そしてシャツドレスの下にスカートを、夏なので白でまとめて、インナーはベアトップで、ウエストは細いベルトでマーク、アクセサリーは大きく主張を、といったところでしょうか。
一見するとシンプルに見えるシャツドレスに合わせるアイテムを複雑に構成することでマルニらしさを表現しています。
この一見なんでもないようなシルエットとディテールのものを、色や素材、そしてスタイリングでグレードアップするのがハイブランドの特徴です。私たちもそんなマル二にシャツドレスの着こなしを学びましょう。
まずはお好みのシャツドレスを手に入れましょう。今年は無地や柄物、また長めの丈のものから短めの丈のものまで、さまざまな形のシャツドレスが売られています。その中から好みのものを選びましょう。
この何の変哲もないシャツドレス、ただ1枚で着たならば、着られないことはないけれども、なんとなく頼りなく、特別おしゃれには見えません。
まだ肌寒いうちは、このマル二のルックのように薄いシャツを重ね着するのも面白いでしょう。
シャツドレスにシャツの重ね着は、しているようで案外誰もしていません。シャツドレスの袖をめくるのを忘れずに、重ね着していることを強調しましょう。
ロング丈のシャツドレスが「流行りもの」へ
流行りアイテムは着こなしに一工夫してみて
シャツドレスの重ね着も面白い
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