もう一つの昼顔? 平日午後3時のお笑いライブ「昼下がりの密会」
『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』が終わった。そして“昼顔ロス”の主婦が急増した。それを狙ったのかなんなのか、「昼顔」終了とほぼ同じタイミングで、「昼下がりの密会」という怪しげなお笑いライブがスタートした。
まずはライブのオープニング映像をご覧いただきたい。
⇒【YouTube】密会オープニング https://www.youtube.com/watch?v=Wn7iuxQ7u6o&feature=youtu.be
……狙っただろ。時間もまさに“平日午後3時”。平日の昼にお笑いライブが開催されるというのは、異例である。なぜなら、平日の昼にライブに行ける人はかなり限られているからだ。案の定、1回目のお客さんは10数名だった。
その10数名というのが、主婦ばかりだった。……やっぱり狙っただろ。真相を確かめるべく、主催コンビ「キャラバン」のお二人、桝本コージさん、難波麻人さんに話を聞いてきた。
――ズバリ、“昼顔ロス”の主婦を狙ったんですか?
桝本:まったく意識してないです(笑)。会場がどこも埋まっていて、昼だったら空いていたので、なんとかできへんかな、というところから生まれました。
コント、VTR、漫才と、1時間にキャラバンのすべてが凝縮されたこのライブ。中でも目玉は、「昼顔」もびっくりのドロ沼コント。第一話の内容はこうだ。
浩司(桝本)と薫(八幡カオル)のカップルが、来月結婚を控えて喫茶店でイチャイチャしている。そこへウェイターの朝人(難波)が、注文を取りに来る。すると薫と朝人の表情が曇る。実はこの二人、元カノと元カレ。偶然の再会に言い争いを始める二人。婚約者の浩司は置いてけぼりの放心状態だ。そこへ真一という男(お見送り芸人しんいち)が突如現れ、今度は浩司の顔が曇る。そして真一は、薫に向かって小刀を取り出す――。
――浩司と真一の関係が気になります。
難波:なにかしら、女性関係で揉めたとか、二人は付き合っていたとか。
桝本:そこは次回から明かされていくんですよね。
難波:薫は妊娠してるんですけど、それもまだ誰の子か分からない。婚約者の浩司の子か、元カレの朝人の子か。今後、もしかしたら誰かが亡くなるかも知れない。かも、ですけどね。
桝本:そこ、勿体ぶるなや(笑)!
――斬新というか画期的というか、(なんじゃそりゃ!)というのが、「初回無料」。……まるでホストクラブのようだが?
難波:昼って、普段、お笑いライブに来ない方が来たりするのかな、来てほしいなと思って。初めてお笑いライブに来るというのは、初めてのお店に入りにくいのと一緒で、やっぱり来にくいだろうなと。
桝本:主婦の方が、主婦友だちを誘っても気軽に来られるように、初回は無料にしたんですよね。いつ来ても初めての人は無料です。
――昼のライブって、(お客さん集まるのかな?)と思ったんですが……
難波:不安はありましたけど、昼やるんだったら逆手にとって、昼の特別感というか、昼にしかできないことをやろうと思いました。
桝本:オープニングとかも、たぶん夜だと出来ないんですよ。普通は元気な曲で始まるんですけど、オルゴールですし(笑)。
難波:昼にやるということで、主軸として、せっかくやったら昼ドラっぽい方がええかなと。スタンプカードを作ったんですけど、昼ドラって続くものじゃないですか。そういった“続きもの”っぽいのがあれば、よりライブの色も出るかなと。
桝本:夜のライブやったら単発のネタが多いから、昼ドラから連想して、連続ものっていう。初めてのお客さんにも楽しんでほしいし、毎回来ていただくと違った楽しみが出せたらええなと思います。
――VTRではお二人のキスシーンがありましたが、感触は?
桝本:柔らかかったです(笑)。
難波:ほんまに嫌で、唇の神経が「無」になってました。
と、言いつつも、「シチュエーションを変えたい」と提案した難波さん。公園、図書館、橋など、場所を変えてのキスシーン。橋のところでキスしたときは、通りがかりのおじさんにガン見されていた……。
桝本:外の方が抵抗ないんですよ。「見られたらどうしよう」というほうに意識が向いて、キスが嫌とかは忘れてました(笑)
難波:僕は完全に「無」だったので、どこでも嫌です……。
なんだか“企画もの”的なライブではあるが、漫才もコントもクオリティが高い。ストーリー性があり、ドラマチックであり、構成力がある。ネタを書いているのは、難波さん。
難波:昔から、本とか漫画とか、物語が好きだったので。構成力というと、それでそうなったのかも知れません。つじつまを合わせるのが楽しいというか。
桝本:つじつま合わせて、嘘ばっかりついてます(笑)。
ライブが終わると、お客さん全員と握手でお見送り。ギュッと手を握られて、「ありがとうございました!」と笑顔で言われると、胸キュンこの上ない。
ただし、懸念点がある。月イチで開催するそうだが、果たしてこのクオリティを保てるのだろうか?
「今のうちに観ておいた方が得策」というのが正直なところだ。“初回無料”なのだから、初回だけ行って、つまらなかったらもう行かなければよい。「そうはならない」という自信があるからこその、“初回無料”なのだろうが。
⇒【動画】女子SPA!読者へのメッセージ(桝本コージさん、難波麻人さんより) http://joshi-spa.jp/150802
<取材・文・撮影/尾崎ムギ子>
★次回ライブ:10月24日(金)開場14:30/開演15:00
場所/下北沢ミネルヴァ http://t-minerva.com/
料金/初回無料、2回目以降・1000円
★Twitter:桝本コージ@masumotokouzi/難波麻人@nanbaaa10
昼ならではのドロ沼コント
謎の「初回無料」システム
ただの企画ものではない。……が、キスシーンも

尾崎ムギ子
1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。「web Sportiva」などでプロレスの記事を中心に執筆。著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』。Twitter:@ozaki_mugiko