自分の子は、自分で稼いだお金で育てたい!【シングルマザー、家を買う/20章・後編】

⇒前編はコチラ 「たしかに、手にする額が今は同じでも、経験は今しか積めないよね。それに、今、助成金に頼り切って、将来、助成がなくなった時にこの子たちの夢を“お金がない”という理由であきらめさせるより、今、その40万円を飛び越えるくらいに一生懸命稼いで、将来子供たちが夢を持った時に、専門学校なり、留学なり、さっと手助けできるのがベストでしょう? それに、自分の子供なら、税金からもらえるお金じゃなくて、自分で働いたお金で手助けしたくない?」  目からウロコだった。そうだ。もし、働けない理由があるなら仕方ないけど、両親のサポートがあって、仕事もある。それならちゃんと自分で働いたお金でこの子たちを幸せにしなくちゃいけない。たとえ子供と一緒にいる時間を増やしたいと思ったとしても、児童扶養手当をもらうために仕事を減らすなんて、言語道断だ。  さらに、彼女はこうも続けた。 「実は私、元旦那からの養育費、一銭も使ってないんだよ。アイツのお金で助けてもらっているなんて絶対に思いたくない。養育費はモモのお金だから、将来、モモが結婚する時に全額そのまま渡すつもり。それまでは、絶対に私ひとりで育てるって決めたんだ」  カッコよすぎる。カッコよすぎる。もう一回。カッコよすぎる! 彼女が仕事で介護を選んだのも、今後、絶対になくならない仕事だからだ。 「私ね。“仕事がない”とか言う人、全員介護に来たらいいと思うんだよ。万年人不足だから絶対に採用されるし、最初は給料が安いけど、資格を取ればちゃんとある程度はもらえる。辛いしキツイし、楽しいとは思えないけど、仕事ってそういうものでしょ。かなちゃんの仕事は楽しそうだけど、でも、専門職だからこその大変さがあると思う。だからこそ、世の中の仕事がないって言っている人とか、仕事を選んでグダグダ言う前に、介護の世界に来れば、めっちゃしごいてあげるのにって思うんだよね」 シングルマザー、家を買う/20章・後編 そう笑顔で話す彼女は、私が知るどんなお母さんよりも強くたくましかった。  ちなみに彼女はこの3年後、私の団地よりもはるかに素敵なマンションを自分の名義だけで購入した。あっぱれである。

ちゃんと働いて、ちゃんと育てる

 そうだ、税金を頼りにするのではなく、ちゃんと働こう。もっと働こう。そして、ちゃんと子供たちを育てていこう。自分が稼いだお金で。  私は元旦那からの養育費を全額貯金するようなことはできないけど、あらためて、働くシングルマザーとして頑張ろうと思えるようになったのだ。  持つべきものは、タフなシングルマザー友達である。  この頃から、少し生活に余裕が出てきた私は、スーパーに行くと、娘に「お菓子1個だけ買っていいよ」と言えるようになっていた。当時、娘は5歳。そのままタタタっとお菓子売り場に行き、10分ほど吟味して必ず私にこう言うのだ。 「ママ、88円の笛ラムネと、298円のプリキュアのお菓子、高い方はダメだよねぇ……」  あれ!? やっぱり吉田家の血筋がそのまま流れてる!? DNAに組み込まれた金銭感覚は、ちょっとやそっとじゃ崩れないようだ。 <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky※このエッセイは毎週水曜日に配信予定です。
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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