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息子が発達障がい!? 1歳なのにハイハイしかできない…【シングルマザー、家を買う/21章】

<シングルマザー、家を買う/21章> バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。 (前号までのお話) がむしゃらに働いて前年よりも稼いだら、児童扶養手当の支給を打ち切られたシングルマザー。支給額は年間40万円。仕事をセーブすべきか悩む中、シングルマザー友達の「自分の子は、自分で働いたお金で育てたい」という言葉にハッとする。

ちっちゃいOLとアホ芸人

 息子の様子がおかしいと気づいたのは、息子が1歳になった頃だった。  一姫二太郎とはよく言ったもので、女の子は本当に育てやすい。知らぬ間におしゃまになり、自分の見せ方を理解し、可愛いと言ってもらうためにちゃんと自分を可愛く着飾る。どんなにロックなおくるみやロンパースを着せていても、2歳ごろにはフリフリを好み、黒よりピンク、青より赤を選ぶのだ。  リボンを見れば「きゃわいい~」とうっとりし、小さな赤ちゃんを見れば大して大きさの変わらないその子の頭をなで、「あかちゃんってかわいいよねぇ~」とつぶやく。本人はしゃべれるようになった途端、まだ世にいう赤ちゃんの部類に入るにもかかわらず、大人への仲間入りをしたと勘違いするのだ。その生意気さたるや親はびっくりである。  つい2年ほど前に生まれ、まだ歩き出して1年もたたないのに、もはやOLのような雰囲気を醸し出すのだ。女子、恐るべし。  対する男子の育ち方は、まったく違う。うちの子に限った話かもしれないが、何をするにも遅いし、これと決めたらそれしか見えない。その前に段差があろうとも、大きな岩があろうとも、それが全く見えずに突進し、落ち、ぶつかり血を流す。それでも目的地に向かって突進するのだ。あっぱれである。  ゆえに、男子のママは常に中腰で、落ち着いてご飯なんて食べることができない。ファミレスなどでは目を一瞬離したすきに手元のしょうゆを水芸のようにばらまき、つまようじを投げまくる。さらにはコップを逆さにして頭からかぶり、ゲラゲラと笑う。こちらがその姿に思わず笑ってしまったら最後、「ウケた!」と勘違いし、さらに水をかぶろうとするのだ。すでに、芸人を超えている。 【シングルマザー、家を買う/21章】 しかも、クレヨンしんちゃんしかり、かわいくて若いお姉さんにはキリッとした目線を送り、目を離したすきにそのお姉さんの膝の上にちょこんと座っていたりするからママは心労が絶えない。しかも、そのビジュアルの判断は感心するほどシビア。先日、新垣結衣似のお姉さんを見つけ、近づいたときの甘えっぷりは本気で息子の将来が心配になるほどだった。  これは、アホだな……。  我が息子ながら、アホ認定をしたのはだいぶ早い段階だった気がする。

育児は思い通りにいかない

 そんなちっちゃいOLの姉と、無鉄砲な弟が一緒にいるから、毎日はあっという間に過ぎる。朝ごはんを散らかされ、ヨーグルトをテーブルに塗りたくる息子に激怒しながら朝の30分の間に3回も雑巾がけをすることなんて日常茶飯事。もはやちょっとやそっとでは驚かなくなった。  予防策? そんなことは、してもしてもいたちごっこ。毎日成長する彼らは毎日できることが増えるのだ。手が届かないだろうと高をくくっていたシャンパングラスをいつの間にか取り出し、チーンと“一人乾杯”でどんどんグラスを割っていくというアバンギャルドな遊びをしているときは血の気が引いた。ケガはなかったのが幸いだが、それ以降、我が家にガラスのコップは1つもない。  これらは彼らの毎日のほんの一部。そう、毎日が戦争なのだ。一日中、子供の面倒見ている専業主婦の人を、心から尊敬する。保育園や小学校は、私にとってはありがたくて、ありがたくて、本当に足なんか向けて寝られない存在なのだ。モンスターペアレント? いやいや、預かってくれるだけでありがたい! どうかうちの子をよろしくお願いします! と毎日頭を下げたいくらいだ。  今では、そんな台風のように走り回る二人を一人で育てる毎日にも慣れ、なんとか生活をしているが、育児とは、本当に思い通りにはいかないもの。それを知らされたのは、離婚してすぐ、息子が保育園に入った瞬間だった。 「息子くん、ちゃんと成長曲線に乗ってる?」  そう問いかけてきたのは、保育園にいるおばあちゃん先生。二人目ということもあり、本当に静かで手がかからないと思っていた息子は、たしかに他の子よりも小さく、成長も遅い。1歳になったにもかかわらず、まだハイハイしかできなかったのだ。でも、ただ遅いだけだろうと思っていた私には驚きの一言だった。 ⇒【後編】「ママはみんな初心者、自分を責めたら絶対にダメ」に続く http://joshi-spa.jp/260635 <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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シングルマザー、家を買う

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