ついに息子に“障がい名”がついてしまった!【シングルマザー、家を買う/22章】

<シングルマザー、家を買う/22章>

バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。


(前号までのお話)
保育園の先生に「息子くん、ちゃんと成長曲線に乗ってる?」と言われ、病院での診察を勧められたシングルマザー。不安な気持ちで病院に行くと、看護婦さんに「ママはみんな初心者。自分を責めたら絶対にダメ」と勇気づけられるのだった。

レイくんママとの出会い



 娘が生まれてから、「発達障がい」という言葉をよく耳にするようになった。私の周りにも、発達障がいを抱えた子供はちらほらといて、接する機会も多かった。

 その中に、レイくんというかわいい男の子がいた。レイくんは1歳半の時点で自閉症と判断されており3歳の時点で難しい駅名を何度も何度も繰り返し言い続け、数字もすらすらと数えていた。クルクル回るものが好きで、たまに癇癪をおこすが、一緒に遊ぶときは少しはにかみながらも娘と一つのことに集中して遊んでくれるので、娘ととても仲が良かった。

 レイくんのママは、とにかく明るくて行動的で、ポジティブ。レイくんのために合う幼稚園を探し、障がい児サークルの代表を務め、レイくんをとにかくどこにでも連れていき、いろんなものに触れさせていた。

 もちろん、レイくんが自閉症であることを隠さずに、「途中で癇癪起こすから大変なのよ~」と笑って話してくれるのだ。健常児の娘を持つ私としては、レイくんのママのポジティブな感情がすごくたくましく映り、尊敬していた。そんな彼女と出会えていたからこそ、この先発覚する息子の発達障がいと向き合う準備が少しずつできていたのかもしれない。すべてはつながっているのだ。

原因が真っ白



 1歳になった直後、芳しくない息子の成長を少しでも手助けするために、漢方や栄養剤などが処方されるようになった。しかし、1年ほど投与しても、あまり成長が見られなかったため、大きな病院を紹介されることとなったのだ。

 東京でもかなりの大きさの小児科の病院へは片道1時間。まさか、息子がそんな病院に毎月のように通うようになるとは夢にも思わなかった。その病院では内分泌化や神経内科、耳鼻科や皮膚科など片っ端から受診するようになり、その後、成長ホルモンがちゃんと出ているか調べるために負荷テストを行ったり、染色体異常を調べるだけでなく、耳がちゃんと聞こえているかなどありとあらゆる検査を行った。

 そこで出た結果はすべて、白だった。

シングルマザー、家を買う/22章 もう、こうなるとどうしていいかわからない。すべての検査が白なのだ。どの障がいもないと言う。先生たちも、様子を見るしかないと言うからには、もうそうするしかないのだろう。その後、療育センターを紹介され、月に3度ほど成長を促すOT(作業療法)とST(言語聴覚療法)のリハビリを始めることとなった。

3年目にして謎が解明



 その後、ゆっくりながらも体と精神的な発達はしているが、どうしたって言葉が出てこない。もう2語文が話せていい頃になっても、有意味な言葉を話そうとしないのだ。「あー」「うー」の喃語(なんご)だけで話し続け、あとはフォローするように大きなジェスチャーがついてくる。それは、3歳になっても、4歳になっても、変わらなかった。

 息子が5歳になる少し前に、ついに「表出性言語障がい」という名前が付いた。異変に気づいてから、3年が経ったころだった。

 表出性言語障がいとは、コミュニケーション障がいのひとつで、脳や聴覚器官に特別な異常がないものの、話す能力が年齢相応に発達しないという特徴を持つ障がいだ。相手が話すことが分かっていても、自分の意思を表現できないために、ジェスチャーで想いを伝えようとするという。

 あ、これ、息子じゃん。ネットで障がい名を検索した時に、率直に思った感想がこれだ。その障がい名が付いた瞬間、誤解を恐れずに言えば、少し安心したのだ。何もわからない状態でいるより、ずっといい。

 とはいえ、人間はそんなに強くない。さすがに、この障がい名が息子についたときは、ショックが大きかった。その後、先生に勧められたのは「愛の手帳」の交付だ。これを手にしたら、息子は「障がい者」という判を押されてしまうことになる。

 まさか、障がいを持つ子どもを育てることになるとは思わなかった。しかも、シングルマザーで。しかもフリーランスで。これが世にいう“三重苦”……。ベートーベンってすごいな!

 そんなときに、レイくんのママの顔がふっと浮かんだ。すぐさま、レイくんのママに電話をかけると、泣きながら話す私の話を聞くだけ聞いて、一言、こう言ってくれたのだ。

「よし、逆手に取ろうか」

⇒【後編】「障がいは楽しんだもん勝ち!」に続く http://joshi-spa.jp/265436

<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。

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◆吉田可奈

80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

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