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「お前にもう愛はない。情だけだ」って言われたらどうする?岩井志麻子の見方

本当の愛をめぐる冒険/第2回 作家・岩井志麻子Vol.5】  パートナーと10年付き合っているゲイライターの渋谷アシルが、「本当の愛とはいったいなにか」を追求する冒険に出発。恋愛や男女関係のスペシャリストたちに話を聞いてまわります。  第2回のスペシャリストは、作家であり、破天荒なキャラクターでタレントとしても活躍している岩井志麻子さんです。

“情”は“愛”よりも上等なもの

愛 嫉妬心や憎しみ、情ですら愛情の一種と言えると話してくれた岩井さん。でも、どうしてそれが愛と言えるのかしら? 「最近、ニューハーフの方が同居していた男をバットで撲殺するって事件があったんです。確か、いま懲役18年かなんか求刑されているのかな? その人が相手の男を殺そうと思ったきっかけが、『お前にはもう愛はない。あるのは情だけだ』って言われたことだったんです。その言葉が殺意に結びついたんですよ。  でもね、わたしは情も愛だと思うし、むしろ愛よりも情の方が上等なものだと思うんですよね。愛って結局、肉欲に直結するけれど、情というのはやさしさとか人間愛とか、そういうもっと大きな感情だと思うんです。  わたしがもしも好きな男から『愛はないけど情はある』なんて言われたら、ちょっとうれしいもの。まあ、彼女にとっては、愛が一番だったんでしょうけどね。 それとね、知人の男性が離婚をして、元妻が残していった物を一切合切捨てたって言うんですよ。目にするとイライラするからって。だけどそれって、それだけ想いが残っているってことでしょう? 憎しみを覚えるくらい、まだ相手のことが気になっているってこと。  わたしなんて、元夫からもらった指輪も、愛人からもらった腕輪も一緒につけちゃいますよ。関心がないから、昔の男の物を残しておくことに抵抗がないんです。だから、つくづくわたしには愛っていう概念がないんでしょうねえ(笑)」
岩井志麻子さん

岩井志麻子さん

愛がなければ、すべてに寛大になれる

 岩井さんは、元夫とも非常に良好な関係を築いているそう。別れた直後こそ、元夫が再婚しただの、子どもができただのと耳にするたびに平静ではいられなかったらしいんだけど、いまでは心の底から彼の幸せを願っているんですって。それって、どういう心境の変化なのかしら? 「うーん、実はまだ愛があるとも言えるし、完全に愛がなくなったからこそ仲良くできているのかもしれないとも思うんです。これはなかなか答えが出ないんですよね。でも、たとえば街中で仲の良さそうな家族を見たら、『良いわねえ、お幸せにね』って思えたりするじゃない? それと一緒で、もう他人だからこそ寛大になれているのかもしれませんね」  そう考えると、愛の定義って複雑……。愛があるからこそ相手の不幸を願ってしまう。逆に愛がないからこそ心の底から幸せを願うことができる。じゃあ、愛なんていらないものなのかしら……。 ☆今週の格言:愛があるからこそ、醜い感情が生まれる ※岩井志麻子さんインタビューVol.6へ続く 【岩井志麻子さん プロフィール】 作家。高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞 を受賞。『岡山女』『trai cay(チャイ・コイ)』『自由戀愛』など、著書多数。「エロくて変なオバちゃん」というキャラクターを活かし、テレビ番組でも活躍中。最新情報はtwitter:@omekoboshi_infoにてチェック。 <TEXT/渋谷アシル> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【渋谷アシル プロフィール】 昼間は会社員の仮面をかぶった、謎のゲイライター。これまでお付き合いしてきたオトコをネタに原稿を執筆する、陰険な性格がチャームポイント。オトコに振り回される世の女性のために、ひとり勝手にPCに向かう毎日。
渋谷アシル
昼間は会社員の仮面をかぶった、謎のゲイライター。これまでお付き合いしてきたオトコをネタに原稿を執筆する、陰険な性格がチャームポイント。オトコに振り回される世の女性のために、ひとり勝手にPCに向かう毎日。
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