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コロナ収束後、連続ドラマってどうなるの?激務に怯えるTV業界人

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ドラマや映画の撮影が相次いで中止や延期となっています。4月クール開始のドラマの多くが放映開始できず、過去のドラマの再放送や特別編などで枠を埋めている現状です。
半沢直樹

TBSテレビ 日曜劇場『半沢直樹』公式サイトより

 そんな中、ドラマの制作現場でもここ昨今謳われ続けていた「働き方改革」の流れで、事前にすべて収録済みであったために難を逃れ、予定通り放映開始されたドラマもあります。しかし、そんな作品のスタッフも、ただホッと胸をなでおろすというわけにはいかないようです。

NHKやテレ東のドラマが予定通り放送されているワケ

 ここ数年、一般企業のみならず、テレビ・映画業界にも押し寄せてきた働き方改革の波。制作に時間のかかる4K撮影の関係もあり、余裕を持った制作スケジュールで動きだし、放映開始前までに撮影が終了しているという現場も珍しくなくなりました。  NHK朝の連続テレビ小説も、月~土曜の週6日放送だったのが、働き方改革などの理由で今作『エール』より週5日放送に短縮されました。その事実があるように、日本の公共放送であるNHKは地上波各局の中でも一番“働き方改革”に対して厳しい姿勢で取り組んできました。コロナ禍突入1カ月以上経過している今でも『エール』をはじめ、様々な4月クールのNHKのドラマが今のところ予定通り放映されているのを見るに、かなり余裕のある進行をしていたことが予想できます。
(画像:連続テレビ小説「エール」オリジナル・サウンドトラック プレスリリースより)

(画像:連続テレビ小説「エール」オリジナル・サウンドトラック プレスリリースより)

 製作委員会制で作られているテレビ東京系ドラマの一部も同様で、なかには半年前に撮影完了したドラマもあるとか。製作委員会制の余裕を持ったスケジュールは、働き方改革という点もありますが、コンテンツビジネスとしての側面から、各媒体に事前に納品しなければならないためという理由もあります。  現在、無事に放映されているドラマの中で繰り広げられている、飲み屋で仲間と酒を酌み交わしたり、大きなオフィスに出勤するなどのコロナ上陸前の何気ない光景は、もちろん事前に撮影が完了したもの。日常を描きながらもまるで別世界のような印象なのは当然ですが複雑ですね。

制作側は奮闘中? 先が見えないため企画も立てられない……

 撮影や編集作業が“三密”ゆえに作業がストップしている中、稼働している部門ももちろんあります。企画や脚本・演出などがそれにあたります。  とある連ドラの脚本家にこのコロナ禍の影響を聞いてみたところ、こんな意見が。
作家

写真はイメージです(以下同じ)

「すでに執筆を終え、春の撮影予定だったものが、夏までに延期になった作品もあります。コロナの影響でこの作品の企画自体がなくなる可能性が出てきたので不安ですね。先が見えないので、コンサートや飲み会など、三密のシーンは書き直すべきか、コロナがなかったら気にしなくていい悩みや手間も増えました。今期の連ドラに携わる友人の作家は、放映回数を減らす場合の検討に入っているようです」  一方で、「撮影の進行を気にせず、じっくり執筆に没頭できる」といういい面もあったようです。空いた時間を、今まで仕事に追われて出来なかった企画書作成などに費やすこともできるようになったといいます。  ただ、企画書を書くにしても、コロナ禍の影響が長引くことを考慮したものにすべきか、海外ロケなども含んだものなど、今までと変わらない感覚で企画すべきか方向性が定まらないため、苦慮しているのだそうです。
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ドラマスタッフたちが恐れるコロナ後の激務
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