
前回、
打ち切られそうになっている自分の漫画を自分で解説するという天罰みたいな仕事をしたのだが、そのおかげで記事が掲載されたその日に重版が決まり、わずかでも連載を延命できることになった。
実際は、その日に掲載された記事のおかげで重版が決まるなどということはあり得ないのだがそういうことにしておかなければ塞(ふさ)がらない傷もある。
ともかく打ち切り回避できたのは喜ばしいことであり、私の中のハンチョウも「ゴネ得…ゴネ得っ…」と喜んでいる。
そしたら今度は前回紹介した「ひとりでしにたい」の後に出した自著「きみにかわれるまえに」の解説をしろという仕事が来た。
また自薦しなければいけないのか、他薦してくれる奴はいないのか、と思うが、いないからこんなことになったとも言える。
「きみにかわれるまえに」は単巻であり、連載はすでに終了している。
売れようが売れまいが「打ち切り」という言葉を聞かずに済むのが単巻の良いところである。
「きみにかわれるまえに」は一言でいうと「ペットと人間の話」であり、それが17本収録されている。
これだけだと「17本入り芋けんぴ」みたいな感じで購買意欲が全くわかないので、まずは他人が考えてくれた単行本の帯に書かれているコピーを紹介しよう。
「可愛いだけじゃない。楽しいだけじゃない。自分勝手に愛している。いなくなったら耐えられない。それでも、君を飼う―――。ペットと人間がつながる、小さく美しい17個の物語」

カレー沢薫「きみにかわれるまえに」 (ニチブンコミックス) 日本文芸社 販売ページより
恐縮です、と言った感じだ。
引き受けておいてなんだが、この本は全く自薦に向かない。
この帯に書かれていることが本当だったとしても、作者が「小さく美しい物語なんですよ」と言った時点で、尿だったら尿道を逆流してしまう。
普通に「涙が涙腺に戻る」と言えば良かった気がするが、ともかく説明すればするほど白けてしまうし、1巻しかない本の内容を解説してしまったら、それだけで買う奴が減る気がしてならない。
よって、あまり内容には触れず、何故この話を描くに至ったかを中心に話したいと思う。