無邪気な子猫期、成猫期を思いっきり楽しんだ長老さんは、歳を重ねてすっかり穏やかな性格に。「長老」というニックネームがふさわしかったと思える、こんなエピソードも。
「晩年、長老はほとんどの時間、掃き出し窓のある部屋の窓際で過ごしていたのですが、窓の外に入れ代わり立ち代わり近所の猫が訪ねて来ていました。近所の猫たちにとっては、まさに“長老”だったみたい」
しかし、今年の2月末から3月上旬、長老さんはご飯が食べられず、水も飲めなくなってしまいました。
「寒い季節だったので母はベッドに入れて、体を温めていました。私は実家を出ているのですが、来週まで持たないと思うから会いに来たほうがいいかもしれないと連絡を受け、3月の第1週目の週末に会いにいきました」
足腰が弱りながらも、迷惑をかけまいと自力でトイレに行く愛猫の誇り高き姿を目の当たりにしたれいれいさんは、体を撫でながら家族と共に今までの思い出を話したそう。
晩年の長老さん
それから数日経った3月10日の朝、長老さんは苦しむことなく、穏やかに天国へ旅立っていきました。
猫の命を救った「小学生たち」に、なんとか知らせたい
連絡を受けたれいれいさんはその日の午後に実家を訪ね、お母さんと火葬場へ行き、愛用していた猫用ベッドと好物の鰹節を持たせ、最期のお別れをしたそう。
「私は実家を離れたり戻ったりでトータルで10年ほどしか一緒に暮らせなかったのですが、しばらく会わなくても、長老はいつだってちゃんと覚えてくれてた。いつか生まれ変わることがあったら、またうちにきてほしい。今まで長い間、ありがとう。ずっと大好きだよって伝えたいです」
小さな子どもたちに救われた命が惜しみない愛情を受け、天寿を全うしたという事実。それを何とかして、当時の3人組に伝えたいというれいれいさんの祈りは、純粋な気持ちをどこかに置いてきてしまった大人の私たちの心に強く刺さります。
「両親も反響にびっくりしており、ずっと気になっていたので見つかったらいいなあ……と言っています。別れ際、小学生が言った『可愛がってもらってね!』『もう捨てられるなよ!』という台詞が今でも忘れられないと言います。もし見つかったら、子どもの頃の純粋な思いがちゃんと伝わったよって、伝えたいです。」