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コロナで“夜の街”の女性がどん底生活に。ウーバーイーツを始める嬢も…

 コロナ禍で過去最悪の状況となりつつある「女性の貧困問題」。従来からの当事者はもちろん、貧困とは無縁だったはずの女性たちも窮乏に陥っている。本企画ではコロナ禍で経済的危機に瀕している女性たちに密着取材を敢行。彼女たちの切実な胸の内に迫った――。
風俗

写真はイメージです

12時間出勤でも収入は半減。ネットでは罵倒されて

 コロナで大打撃を受けた風俗業界。その煽りを受けて、一気に貧困に陥ってしまった風俗嬢も多い。2年前から東北で出稼ぎ回春マッサージ嬢として働く加藤雅子さん(仮名・27歳)もその一人だ。 「コロナがはやる前は、地元から車で2時間かけてお店に行って寮に泊まるという形で隔週で出勤していました。以前は一日に平均6人ぐらいは来ていたお客さんが、コロナ禍では12時間待機してもゼロの日も多くなって。今まで月収20万円だったのが、半分の10万円前後に落ち込みましたね」  さらに彼女を精神的に苦しめたのは、掲示板サイト。お店のスレッドを見ると、名前は伏せてあるものの罵詈雑言が並んでいた。 「1週間連勤だと他県から出稼ぎに来てると思われて、『コイツはコロナをまき散らしてる。要注意』などと嫌がらせを書かれて、お店からも『迷惑だからしばらく来ないでほしい』と言われました。ウチの店はホテル以外に自宅も出張OKで、コロナ中はNGにするコが多かったけど、私は全部受けるしかなかった。なかにはカビ臭い不衛生な部屋で、マスクもつけずに咳をしている人もいて……」  劣悪な環境でも、ほかに働ける店はなかなか見つからない。3万2000円の家賃も3か月滞納するほどカツカツになったそう。
カードローン

整形代はカードローンで2年払い。督促状が来ても払うことができず、結局、あとから倍以上の金額を払った月もあるという

「車や2年前に行った整形代のローン、奨学金の返済など自動的に引き落とされるものが優先されて、家賃にお金が回らないんです。国民年金も滞納分があるので、そういった催促の電話が一日中鳴りっぱなしでした。身の回りのモノをメルカリで売ったお金で補って、どうにか家賃は払えました」

昼職への転職が難しい理由

 コロナ禍で風俗も厳しい状況だが、昼職への転職は考えないのか。そう聞くと、「今の私には難しいですね……」と首を横に振った。 「近くの市営住宅に住む母が今年2月に倒れて手術をして、生活が不自由なんです。大学生の弟は地方にいるから、面倒を見られるのは私しかいない。母はバツ2で男にだらしないけど、女手一つで苦労して育ててくれました。病院の送り迎えをしながら、自分の生活も維持していくには風俗業しかないかなって。『出張のある仕事をしてる』とだけ言っていますが、それ以上は何も聞いてこないので、気づいているのかもしれないです」  結婚願望もなく、正式な交際相手も長年いないという。「今は親に恩返しすることが、私の生きる目的かもしれない」とも。
薬

「自分は長く生きられない気がする。ただ、生きてる限りは家族を支えたい」

「数か月前に体調が悪くて病院に行ったら、子宮頸がんの疑いがあると宣告されて。風俗で働けなくなったときのことを考えたくないし、相談する相手もいません。唯一の救いは来年になれば母と弟が同居するので、母の面倒を見る負担が少し減るということくらいですかね」  今は家族との繋がりだけが彼女の心の拠りどころとなっている。
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「夜の街」に異変!ウーバーイーツで稼ぐ吉原嬢も
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