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「妻が風呂に有毒ガスを…」殺しあう寸前までいった夫婦の悲劇

「葬式、ぜんぜん立派じゃなかったね」

 やがて、筒本さんの父親が亡くなった。地元企業の経営者だったので、都内の寺で大きめの葬式をあげたそうだが、そこでも亜子さんとひと悶着あったという。 「亜子と参列した葬式のあと、帰りのタクシーで彼女が信じられないことを口走ったんです。『経営者のわりには大した葬式じゃなかったね。もっと立派な葬式だと思ってた』って。公平に見てすごく盛大な式でしたし、仮にそう思っていたとしても、故人に対してあまりにも失礼でしょう。耳を疑いました」 ぼくたちの離婚 Vol.16 #1 筒本さんは声を荒げて「そんなことないよね! 立派な式だったよ!」と抗議したが、亜子さんは謝りもしない。それどころか、「うちのお母さんの葬式はもっと立派だった」と言い返してきた。  実は亜子さんは存命中の父親と折り合いが悪く、大好きだった母親の死を「父親のせい」と口走ることがたびたびあった。結婚前にはこんなこともあったという。 「父が余命わずかだと亜子に伝えたとき、彼女、ものすごく動揺したんです。聞くと、自分がパニック障害になったきっかけが母親の死だったんだと。それがフラッシュバックしてしまったらしく、数日間落ち込みました。当時の僕は、むしろ亜子のことを『人に共感できる優しい子だ』くらいに思っていたんですが……。今からよくよく考えてみると、その頃から亜子の気持ちのアップダウンが激しくなっていきました」 「葬式で近親者の死に立ち会い、再度“スイッチ”が入ってしまった」。そう筒本さんは説明した。

自分を救ってくれた妻に、どん底まで叩き落された

 葬式を境に夫婦関係は劇的に悪化していく。 「亜子はちょっとしたことで錯乱し、大声をあげ、汚い言葉で僕を罵りし、なじり倒すようになりました。同棲中の亜子とはまるで別人になってしまって……。パニック障害の発作もひどくなりました」  筒本さんは亜子さんに精神科への通院を促した。一方で病気についてネットや書物で調べ、適切な対処方法を探ってもみたが、徒労感しかなかったという。 「考えに考えを尽くし、彼女が一番楽になるであろう言葉や対応を心がけましたが、何を言っても、何をやっても、どう歩み寄っても、『あんたにはわかんないわよ!』と一蹴され、責められました。かと言ってそっとしておくと、『どうして理解してくれないの!?」と抗議される。一体どうすればいいのか、途方に暮れました。それまでの人生で、こんなにも自分が無力だと感じたことはなかったです」  一度は自己肯定感を回復させてくれた亜子さんに、今度はどん底まで叩き落とされたのだ。 「四六時中、亜子のことしか考えてないのに、手かがりひとつ見つけられない。世の中は、費やした努力が何ひとつ報われない。因果応報なんて嘘っぱちだと思いました。今でも思ってます」
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妻の浮気が発覚
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