おうちに迎えた日は、ちょうど歌手のシンディ・ローパーが来日していたことから、「彼女のように明るくなってほしい」という願いを込め、大型犬の名前は「シンディ」に。

おうちにやってきたシンディちゃん
犬好きのマロンくんは初めから興味津々でしたが、シンディちゃんのほうは目をそらしていたのだとか。「ストレスにならないよう、あまりにもマロンがしつこくする時は離していましたが、人間が近くにいる時より、シンディがリラックスしているように見えたので過度な配慮はしませんでした。」
一方、マロンくんのほうはすぐに「シンディ」という言葉が新しくやってきた子を示すのだと理解し、名前を聞くだけでとんでくるように。マイペースだったマロンくんには庇護欲も生まれ、シンディちゃんを守ろうとする姿が、日常の中で多く見られるようになりました。

大型犬のシンディちゃんを頼もしく守る“兄貴”になった、マロンくん
なかでも、あんのくるみさんの印象に強く残っているのが、雷の日の出来事。雷がとにかく怖いシンディちゃんが窓から離れて尻尾を丸めると、マロンくんはすかさず、窓とシンディちゃんの間に立ちはだかったのだそう。「小さいながらも凛々しい背中でシンディを守っていました。毛が逆立っていたので、本当はマロンも怖かったんじゃないかと。勇敢な兄貴です。」
また、往診の獣医師さんに見てもらった後に、家族みんなでシンディちゃんを思いっきり褒めるときには、マロンくんも「よく頑張ったね」と言うように顔をペロペロ。

種を越えて絆を深めた2匹
きょうだいのように仲が良かった2匹は、師弟関係のような絆でも結ばれていました。
しかし、それから3年後、迎えた当初からあまり健康状態がよくなかったこともあり、シンディちゃんは肺疾患のため、この世を去りました。急激に弱っていくシンディちゃんを前に、マロンくんは動揺することなく、しっかりとそばに寄り添っていたそう。別の部屋で眠るシンディちゃんを心配し、夜中に何度も様子を見に行くこともあったと言います。

弱っていくシンディちゃんに寄り添っていたというマロンくん
「でも、亡くなった日は容態が急変したときに呼んでもマロンは絶対にシンディの部屋に来ませんでした。まるで亡くなる瞬間を見たくないと言っているかのようで。もしかしたら、前日のうちに彼なりのお別れを済ませていたのかもしれません」
また、シンディちゃんが亡くなった後、マロンくんはシンディちゃんがいた部屋に一切入らなくなったのだそう。
「一緒に遊ぶときはリビングが多かったので、マロンにとってシンディの部屋は病に苦しんでいた場所だと記憶に残ったのかもしれません。」
犬と猫はよく、比較されやすい動物ですが、当人たちはお互いの個性を尊重し、内面を認め合いながら生きていることも多いもの。そんな姿勢から、私たち人間が学ぶことはたくさんあるような気がします。