
しかし、2017年の秋、小太郎くんに異変が。ある日、akieさんは小太郎くんの喉元にしこりのようなものがあることに気づき、急いで病院へ。告げられたのは、「ホルネル症候群」という病名でした。
ホルネル症候群とは、目に繋がる交感神経に障害が起き、目やその周辺にさまざまな症状が現れる病気。小太郎くんの場合はしこりのほかに、頭をかしげる、目が濁る、瞳孔の開きが左右で異なるといった症状がみられたそう。
「なるべくストレスをかけないよう、治療中、家では小太郎をそっとしておくように意識しました。そしたら、完治とまではいきませんでしたが、目の濁りやしこりは良くなったんです」

ところが、治療中、耳がやけに黄色くなったことを心配し、病院で相談すると「胆管肝炎」であることが判明。それは2018年、春先のことでした。
治療のため、ステロイドを毎日投薬することになった小太郎くんはやがて食事が摂れなくなり、点滴で栄養を摂取。しかし、点滴を入れていたところの皮膚がただれて壊死してしまったため、akieさん家族は強制給餌をすることになりました。
「これが1番ツラかった。小太郎にとってもストレスだったようで、私たち家族を避けるようになってしまって……」
それからしばらくして、小太郎くんは肺炎を患い、逝去。最期は家族に囲まれ、大好きなお母さんの腕の中で、まるでありがとうと言っているかのように「ニャー」と2回鳴き、息を引き取りました。
強制給餌が原因で肺炎になってしまったのか……。どうしたら、小太郎にとって1番よかったのだろう。小太郎くんが亡くなってからakieさんは毎日、そんな自問自答を繰り返し、涙に暮れていました。
そんなとき、そばで支えてくれたのが、しらすちゃん。
「きょうだいでもあり、恋人のようでもあった存在を失って自分も悲しいはずなのに、ずっとそばにいてくれて、涙でびしょぬれになった顔を喉を鳴らしながら舐めてくれました」
元気を出して。私がいるよ。まるで、そう言ってくれているかのようなしらすちゃんの行動にakieさんの心は救われました。
「猫は人間と同じ感情を持っているし、人間の心の中をよく見ているなって感じました」