そうなの?お父さん、と頭の中でその辺にいるかもしれない父に語りかけつつ。来た道を引き返すと、線香の炎は落ち着きました。
その後も私が場所を間違えるたび、叱咤するように線香は派手に燃え上がりました。それを頼りに探し続けると、目的のお墓にどうにかこうにか到着。もしかしたら、父はなかなか顔を出さない娘に呆れながらもナビゲートしてくれたのかもなぁと思っています。
ちなみにこの時、お参りをしながら「そういえば、うち去年マンション買ったんだよー。今年のお盆は実家じゃなくてうちに帰省すればー」とお墓に語りかけたんですよね。そしたら、本当に来たっぽいんです。まさにお盆に入る直前に。
深夜2時、内容はよく覚えていないのですが、私は悪夢にうなされてたんです。すると突然私の耳元で「○○っ!(筆者の本名)」と男の人から怒鳴られて、その声で目が覚めました。悪夢から助けてくれたんでしょうか。
その日からお盆中は、夫が出かけている家の中で男性のくしゃみがしたり、やたら物音がうるさかったりしたので、しばらく滞在してたんじゃないかなと思います。そしてこれからはお墓参りもちゃんと行くように。改めてこれまでの自分を懺悔したいと思います……。
―シリーズ「
怪談・ゾッとする話/不思議な話」―
<文/もちづき千代子 イラスト/カツオ>
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フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:
@kyan__tama