
築40年近い自宅アパート
「母親からはたまに連絡が来ますが、父親からは一度もありません。そういうことにすごく厳しい人でしたし、祖父にあたる人は幼い父親と兄弟を残して出ていってしまい、かなり苦労したという話を聞いているので。だから、余計に私のことは許せなかったのかもしれません」
現在はショッピングモールの大型スーパーでフルタイムのパートとして勤務。給料は手取りで月14万円弱。これが映美さんの収入のすべてです。
「夫が『家にいてほしい』という人だったこともありますが、仕事をまったくしてなかった10年というブランクはあまりに大きかったです。独身時代は美容部員の仕事をしていましたが、離婚後雇ってくれるところはありませんでした。
また、パソコンを使った仕事の経験はほとんどなかったので、派遣も含めて事務系の求人には応募することすらできなかったんです」
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●映美さんの1か月の収支
収入
14万2000円
支出
5万円(慰謝料を肩代わりした親への返済)
4万6000円(家賃)
1万2000円(光熱通信費)
2万円(食費)
1万4000円(雑費)
収支
±0円
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現在は給料から慰謝料の返済に5万円、アパートの家賃が4万6000円でこれだけで収入の3分の2が消えてしまうとも。貯金する余裕なんてまったくなく、ここ1年は洋服を一着も買っていないそうです。
離婚前の映美さんの写真も見ましたが、現在は一気に老け込んでしまったような印象があります。生きていくのに必死でオシャレに気を遣う余裕なんてないのかもしれませんが、厳しい現実を突きつけられました。

給料の管理口座。貯めるほどの余裕はない
「でも、今はまだ親に借りた慰謝料を返済するという目標があるからいいんです。問題はその後です。
もう半分以上を返済して、残りは150万円ほどなのですが完済してしまったら私には目標がありません。子供と会うことも叶わず、女としても旬を過ぎてしまっています。何を張り合いにして生きていけばいいのかなって」
立替分の月額5万円という慰謝料の返済がなくなれば生活自体はラクになるでしょう。結婚中とまではいかなくてもオシャレや趣味にだってそれなりにお金を使うことはできるはずです。
しかし、彼女自身はそこに希望を見出すことはできないようです。
「今の生活は、自分が体調を崩したり病気になれば即破綻してしまう。さすがにそのときは両親が手を差し伸べてくれるかもしれませんが、自分ひとりではちゃんと立ってあるくことさえできないのが今の私なんです。結局、私は離婚するまで何もわかっていなかったんだと思います」
失って初めて気がつく不倫の代償の大きさ。彼女にとってそれはあまりに大きすぎたようです。
<文/トシタカマサ>
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トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。