『トリック』生瀬勝久、いぶし銀の舞台役者から一躍全国区に

『トリック』矢部警部補役・生瀬勝久
『トリック』シリーズ(テレビ朝日系、2000年7月放送ほか)の矢部警部補を演じた生瀬勝久(59)。その圧巻の“顔芸”で全国区の知名度と人気を獲得するきっかけにもなりました。
同作はインチキマジシャン・山田奈緒子(仲間由紀恵)と物理学教授・上田次郎(阿部寛)が、謎めいた村の超常現象や事故に隠されたトリックを解決していくミステリードラマで、奇才・堤幸彦氏のシュールな演出でも話題になりました。
生瀬勝久演じる矢部警部補は誰が見ても一目瞭然のカツラを被った関西弁のヘッポコ刑事で、
超常現象が起きるたびに瞳孔が開きそうなくらいに目を見開いて驚く仕草やカツラがズレたときに慌てふためく表情が、さすが舞台俳優出身と思わせる衝撃力の強い“顔芸”をたびたび披露していました。
その後、同作で主演だった仲間由紀恵と共演した『ごくせん』の猿渡教頭役でもかなり破天荒な“顔芸”演技をしていました。

『NHK大河ドラマ 秀吉 総集編 [DVD]』
最後に紹介するのは、NHKの看板ともいえる大河ドラマでも“顔芸”が話題になった作品があります。コメディアン出身の俳優で、今や映画監督としても活躍する竹中直人(64)が演じた『秀吉』(NHK、1996年4月放送)です。
同作は、堺屋太一氏の歴史小説を原作に、農民だった秀吉が立身出世を成し遂げて戦国武将になり、天下統一を果たすまでの半生を描いたヒット作でした。
特に際立っていたのは、秀吉が農民から織田信長の武家奉公人になるまでの“サル”と言われた時代の演技です。
顔を泥だらけにして歯を食いしばりながらも必死に滑稽な顔を見せる魂のこもった“顔芸”は視聴者を圧倒。また、ツバを飛ばすほどの泥臭い演技も話題になりました。
思えば、コメディアン時代に披露していた鉄板ネタ「笑いながら怒る人」という“顔芸”があってこその演技だったと言えるかもしれません。
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このように、視聴者にすさまじいインパクトを与えて今でもついつい思い出してしまう“顔芸”ドラマの数々を紹介してきました。
いよいよ終盤を迎える『半沢直樹』でも、おそらくこれまで以上に強烈な“顔芸”合戦が繰り広げられるはずです。本編のストーリーはもちろん、“顔芸”にも注目してリアルタイム視聴をすることをおすすめします。
<文/木田トウセイ>
木田トウセイ
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。