Lifestyle

「1歳まで生きられない」と言われた猫・あるくが“奇跡の4歳”になるまで

定期検診の大切さを呼びかける

 それから3年経った今、あるくくんは血中アンモニアを抑えるシロップや発作を抑える薬を飲み、開腹検査を行ってもらった病院へ定期的に通いながら、自分の足でしっかりと生きています。 image4「動脈へのシャントにより門脈の血流が逆流し、肝臓で解毒できなかった血が体内を巡っているので肝性脳症を起こさないよう、お薬でコントロールしています」  気圧の関係で軽い発作が起きるため、天候の変化が激しい時期や台風の多い時期は特に注意が必要。 「発作時は猛ダッシュで走り、壁に激突してしまうこともあるので、薬が効くまでは大判タオルや毛布などでくるみ、抱え込みます。この方法は、同病の子と暮らしている方から教えていたただきました」
投薬時も優しく包み込む

投薬時も優しく包み込む

 自身の経験を通し、ゆこさんは定期健診の大切さを訴えるとともに、興奮状態、よだれ、過食、目が赤みなどの異変を感じたときはすぐ動物病院で診てもらうよう勧めています。 「門脈シャントは月齢数に関係なく発症する病気。あるくのように投薬で普通に過ごせる子、手術ができる子、手術をしても再びシャントができてしまう子などさまざまなので、多方面の獣医師に同じ質問をしながら治療法を決めるのもよいと思います。同じ病気で悩んでいる方の力になれるよう、私もあるくの様子や費用面などを発信し続けていきたいです」 image7 そう語るゆこさんは人生をかけて、愛猫と共に生きていこうと覚悟しています。

私と愛猫の出会いは必然だったのかもしれない

「保護したときは去勢手術を終えてから譲渡しようと考えていました。でも、病気が判明したので我が家で最期まで面倒を見ようと決意しました。実は私自身も完治しない病気を抱えているので、あるくとは重なるところがありました。こうして出会ったことは、必然だったのもしれません」  辛いことも多い毎日をなるだけ楽しく過ごし、いい“猫生”だったと思ってもらいたい。そんな祈りを抱きながらゆこさんはひとつひとつの治療を「本当に必要か」「私のエゴではないか」と考え、獣医師に相談しながらあるくくんの身体を守り続けています。 image5「朝晩の投薬があるので旅行には行けなくなりましたが、あるくと過ごす日々は楽しすぎる。私の人生の中にこういう時間があってよかった。人間の1日は犬猫にとって5日間分くらいに値すると聞いたことがあるので、より大切に過ごしたい」  1日の尊さを噛みしめるゆこさんは最後に、こんな本音も語ってくれました。 「病気で苦しんでいる子の飼い主さんのことは、どうか温かい目で見守り、応援して欲しい。詐欺まがいな勧誘やSNS上での集団攻撃なども目にすることがあるので、そう思います。さまざまな考えがあるとは思いますが、優しさを持って支え合える世の中になって欲しいです」 image6「1歳までしか生きられない」と言われたあるくくんは、今年4歳に。優しいまなざしに見守られながら、今日も猫らしい日常を謳歌しています。 <文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ