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夫が大病になり“検索の鬼”と化した妻が、心を救われたネットの言葉とは

夫との今の時間を大切に

 ある1人の方の回答に「病気の奥様は今まだ生きていますし、必死で闘病をされています。まだ亡くなってもいないのに、あなたが絶望していたらその奥様はこの先どんな気持ちで治療を続ければいいのでしょうか」とありました。 夫との今の時間を大切に これを見て、私は雷に打たれたような衝撃を受けました。たしかに、まだ夫は生きています。それなのに私が勝手に絶望していたら、治療する夫は希望を持てずいたたまれなくなってしまうはず。一番つらいのは夫なのに……。  こんな当たり前のことにも気づけなかった自分に失望しつつも、なんだか少しモヤが晴れたような気がしました。そう、まだ夫は現実に生きているのです!  いずれにしても、人はいつか必ず死にます。病気でも病気でなくても、死に別れるときはいつか訪れます。明日事故に遭うかもしれないし、なんなら自分だっていつどうなるかなど何の保障もありません。だとしたら、毎日結論の出ない答え探しやネガティブな情報を拾い集めるよりも、今生きている夫との時間をより深く大切に過ごすことを考える方がよほど有意義だ、と思うようになったのです。

やりたかったことにチャレンジ!

 それからはすっかり検索をする気にならなくなり、必要以上にスマホを手にすることもやめました。そもそも、がんという病気は人によって異なり、同じがんだとしてもできる位置やその質によって、どの治療がいいのかなど素人にはとてもわかりません。ネットに落ちている一方通行の知識では何の意味もなく、ただ心を揺さぶるだけなのです。治療を進めるうちにそんなことにも気づき、より一層「検索をやめよう」といった考えに至りました。
やりたかったことにチャレンジ!

夫婦の共通の趣味だった落語。念願の立川志の輔「牡丹灯籠」の落語を見に行くことが叶い、その時もらった夫婦2人分のうちわと私の名入れ手ぬぐいです。

 あとは残された時間に2人でやりたかったことをどんどんチャレンジしていくことに考えをシフト。元気になったタイミングで旅行に行ったり、会いたい人に会いに行ったりと、できるだけ悔いのないよう過ごしました。すると夫婦でのくだらない諍(いさか)いも減り、闘病中のつらい出来事も前向きに考えられるようになりました。残された時間が少ししかないかもしれないのに、イライラしたり悲しくなったりする時間なんてもったいない! 夫もそう思ったようで、お互いが穏やかになりました。  とはいえ、メンタルは自分で切り替えることができても、現実的な部分は頭を抱えることもしばしば……。がんの闘病は、本当にお金がかかるのです。次回は、闘病中のお金の問題についてつづっていきたいと思います。 ―シリーズ「私と夫の1063日」― <文/関由佳> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
関由佳
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。Twitterブログ
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