月給15万のシングルマザー、親への仕送り月5万も。“2世代貧困”の苦しさ
昨年、大きな話題となった「老後2000万円問題」。「夫婦が95歳まで生きのびるのに、年金では約2000万円足りない」と、金融庁が報告書に記したのです。
実際に、老後の生活費が厳しいという高齢者世帯は多く、子供が親に仕送りをしているケースもあります。10年前の少し古いデータですが、内閣府『平成22年度 高齢者の現状及び今後の動向分析についての調査報告書』によると、別居している親に仕送りをしている人の割合は1.4%で、その平均金額は月に6万4000円。普通の家計なら、親に毎月これだけのお金を送るのは、かなりの負担です。
「けど、親に泣きつかれてしまった以上、いくら生活が厳しくても『そんな余裕ない!』と見捨てるわけにもいきません。なんだかんだいって私の親ですから……」
苦しい胸の内を明かしてくれたのは、コールセンターで働く川名秀美さん(仮名・36歳)。小学5年生になる男の子を育てているシングルマザーです。
「別れた夫は高校卒業後に勤めていたカー用品店の同僚でした。けど、結婚後に私に隠れて数百万円の借金を抱えていたことを知って、そのことを問い詰めると暴力を振るうようにもなって……。家にもお金をほとんど入れてくれなくて、子供を産んだ翌年に離婚しました」
元夫からの養育費は現在まったく振り込まれておらず、消息すらわからない状態。彼の実家に問い合わせても連絡先を知らなかったそうで、「もともと実のご両親との仲はあまり良くなかったので……」と完全に諦めているとか。
そのため、収入はコールセンターの給料が手取りで約15万2000円。それと子供手当をはじめ、ひとり親家庭などを対象とした自治体の児童扶養手当や児童手当、児童育成手当といった諸手当が1か月あたり5万1850円。合わせて20万3850円になりますが、これだけあればシングルマザーでも子供ひとりを育てることは可能です。
「ただ、ここから毎月5万円を実家に仕送りしているので、15万円弱で生活しなきゃなりません。もっと給料が多ければいいのですが、20万円のうち4分の1が仕送りで消えるので本当にしんどい。国や自治体からの手当てがなければ、うちはもう生活していけないです」
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●秀美さんの1か月の収支
収入
15万2000円(コールセンターの月収)
5万1850円(国・自治体からの諸手当)
支出
5万円(実家への仕送り)
4万3000円(家賃)
1万6000円(光熱通信費)
3万円(食費)
4万2000円(子供の教育費など)
1万8000円(雑費)
収支
+4850円
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