「彼の夢を応援したいの」バンドマンと結婚したら働かず努力せず浮気まで
自分が結婚を押し切ってしまったのかとモヤモヤ
「そのころ彼は昼間のバイトも辞めていたんです。だからといって家事をしてくれるわけでもない。器材がほしいとなると私にせがむようにもなっていました。せめて自分の食い扶持(ぶち)くらいは稼いでほしいと言ったら、彼はまた数日、帰ってこなくなった」
どこに行っているのか不思議だったのだが、あるとき彼が他のバンドのライブに出演することになった。終了後、彼の元へと小走りに駆け寄る女性を見つけた。楽屋へ行ってみると彼が女性と親しげに話している。
「もしかしたらとピンと来たんです。元カノではないか、と。彼は私を見ると彼女とともに去って行きました。私はふたりを追いかけ、彼女に『サトシの妻です』と挨拶しました。彼女は軽やかに笑って『ああ、あなたが……』と」
がんばらずに過去の女性と浮気をしている夫
恋人の夢を応援したい、そのために会社員である自分が生活のめんどうをみるという女性の話はときどき聞く。だがユミさんが言うように、それは「彼が夢に向かってがんばっている」のが大前提なのだ。結果、成功するかどうかはどうでもいい。がんばる彼を応援したいのだ。
だから彼が結婚生活に甘んじて何もしないとなると話は別。まして浮気など言語道断だろう。
「私が甘かったんですね。彼なら応援するこちらの気持ちに応えてくれるはずだと思い込んでしまった。そもそも自分の夢を他人に託すという私の考え方が間違っていたのかもしれません」
ユミさんは現在、離婚を考えている。彼は週に半分も帰ってこなくなったという。
―シリーズ「結婚の失敗学~相手選びの失敗」―
<文/亀山早苗>
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亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio


