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やたらと目が疲れる、乾く…コロナ禍で増える「涙液トラブル」と正しいケア

 ここ最近、以前よりも目が疲れやすく、ものが見えにくいと感じることが多くなりました。「スマホの見過ぎ?」「年のせい?」などと理由を探っていたところ、実はいま、目の不調を感じる人が増えているそうなんです。 ドライアイ そこで今回は、いま私たちの目に一体何が起きているのか、眼科医の先生に解説してもらいました。

コロナ禍における目の不調に気づいて!

「昨今のコロナ禍によって、リモートワークを導入する組織が増え、デスクワークが増えています。そうした状況のなかでも、目の健康状態を意識していない方が非常に多く見られます」  こう警鐘を鳴らすのは、「気づいて!涙液トラブル啓発委員会」(以下、委員会)のメンバー・堀裕一先生(東邦大学医療センター大森病院 眼科)、猪俣武範先生(順天堂大学医学部附属 順天堂医院 眼科)、内野美樹先生(ケイシン五反田アイクリニック院長)、山口剛史先生(東京歯科大学 市川総合病院眼科)です。  目の疲れ、かすみ、不快感の原因に関して理解を深め、アイケアの必要性を人々に知ってもらうため、今年発足した同委員会。涙の不安定性によって起こる目の不快症状である「涙液トラブル」を啓発する活動を実施しています。 “涙液トラブル”ってちょっと聞き慣れない言葉ですが、まずは同委員会が今年6月に行った「コロナ禍における目の不調に関する実態調査」を見ていきたいと思います。

リモートワークで目の不快症状が増えている

 同委員会は2020年6月23日~6月25日の3日間、新型コロナウィルス発生前と緊急事態宣言発令中におけるリモートワークの実態を調査。その結果、コロナ発生前のリモートワーク実施状況は全体の7.3%だったのに対し、緊急事態宣言発令中では全体の22.7%と約3倍に増加。リモートワークが確実に増加していることがわかりました。  次に、リモートワーク経験者に以前と比較して増えた症状や体調変化について尋ねると、1位が「首・肩のこり」で27%、2位が「目の疲れ」25%、続いて「ストレス」「目の乾き」17%という結果に。また、「近くが見づらい」10%、「目の異物感」9%、「遠くが見づらい」7%など、リモートワークにより目の不快症状が増えたと回答した人がいる結果となりました。  この調査を監修した内野美樹先生は、次のように分析します。 「本調査で、新型コロナ感染拡大にともなう緊急事態宣言発令により、リモートワークをしている人が以前にくらべ約3倍と大幅に増加していることがわかりました。また、緊急事態宣言後も8時間以上仕事でディスプレイを見る人は、リモートワークをしている人で41.7%、リモートワークをしていない人で24.9%。リモートワークをしている人の割合が高いことが示されました。  また、リモートワーク前後での体の変化に関しては、目に関するものが多く、目の疲れ、目の乾き、異物感に、視力低下と“涙液トラブル“が原因と思われるものが散見されました

目の不快症状の原因「涙液トラブル」とは?

 最近増加しているリモートワークで、目の不調を感じる人が多くなっているようですね。では、不調を引き起こす原因とされている「涙液トラブル」とは一体何なのでしょうか? 涙液トラブル図1「涙液トラブル」とは、涙の不安定性が原因で起こる目の不快症状。目の乾き、かすみ目など、目の不快症状の根本原因の一つは、涙の分泌量の減少や、涙の成分のバランスが崩れて涙が不安定になることだと考えられています。  そもそも涙には、目の健康を守るだけでなく、快適にものを見るためにも欠かせない役割があるのだとか。角膜などの目の表面の組織を潤し乾燥から守る、目の表面の組織に栄養や酸素を供給する、外界から侵入する菌や遺物から目を守る、角膜の表面の凸凹をなめらかな曲面にしてきれいな画像を脳に届ける、といったことも涙があってこそ。  普段なかなか意識することのない「涙」ですが、その量と質が非常に大切なポイントなんですね!  だから、涙が乾きやすい、うまく分泌されない、涙の成分がきちんと産生されないと「涙液トラブル」が起きる。それが、目の乾き、疲れ目、かすみ目などさまざまな目の不快症状につながる。そうした症状が頻繁に発生したり、重症化したりすると、ドライアイ、角膜の傷、目の表面の炎症などの病気を引き起こす……なんとも恐ろしい話です。  これを防ぐためにも、涙そのものをしっかりケアしてあげることが必要。ただ逆に考えれば、涙の不具合、つまり「涙液トラブル」を予防・改善することで、目の不快な症状を抑えることが期待できるわけですね。
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こんな症状に悩んでない?「涙液トラブル」チェックリスト
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