赴任からおよそ8か月後にスタートした2人の関係は約2年間続きます。ですが、ある日彼からの着信だと思って電話に出ると、「いつも主人がお世話になっています」という声の主は彼の妻。不倫関係は妻にバレていたのです。
「最初は否定しましたが、『今だって主人の携帯から電話しているんですよ。証拠を持ってないと本気で思っているんですか?』と冷たい口調で言われ、もう無理だと思って不倫したことを認めました。すでに学校にも報告されていて、週明けの月曜日、教頭に呼び出されました」
しかし、体裁を気にする私立校だったのと、生徒や保護者にバレたわけではなかったこともあり、学校から正式な処分は下されませんでした。ただし、仕事以外での彼との接触を一切控えるように厳命されてしまいます。
「同じ教科でも2人きりにならないように、私だけ教科準備室への立ち入りは禁止。でも、それは一時的な措置で、最初にお話ししたように年度末で学校を辞めるように暗に言われました。授業のシフトなどもあるので急に辞めれば混乱を招くし、それは避けたかったのだと思います」
奈緒さんはすぐに辞表を提出。年度末まで教壇に立ち続けますが教職員の間では不倫が知られてしまい、送別会も行われなかったそうです。
「そういう雰囲気でもなかったですし、私から辞退しました。彼は辞めませんでしたが、翌年度から姉妹校に異動になりました。連絡は取っていないので辞めた後のことは知りません。ただ、離婚はしなかったと聞いています」
学校を去った後は、教職とまったく関係のない一般企業に就職。もう教員に復帰するつもりはないとか。
「先生として生徒の前に立つ資格なんかないですよ。私が生徒や保護者の立場ならそんな人に教えてほしいとは思わないですから」
また、高校時代のクラスメイト、バスケ部の仲間との交流も避けるようにしているといいます。
「部活のOB会は彼も参加するだろうし、同窓会にも同じ部活のクラスメイトが何人もいたので毎回欠席です。今後も出ることはないと思います」
恩師との不倫は高校時代の楽しかった思い出にも影を落とすことになってしまったようです。
―禁断の恋に狂った私―
<文/トシタカマサ イラスト/カツオ>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。