国内でアイアイが見られるのは、上野動物園だけだと聞きましたが、アイアイの数が少ない理由を教えてください。

「(公財)東京動物園協会」
「世界でおよそ60頭のみが飼育されており、日本でアイアイに会えるのは上野動物園だけです。
森林破壊による生息地の減少に加え、不吉な迷信から人間に駆除されてしまったり、一部では農作物を食べる害獣という理由で捕獲され、個体数を減らしています。国際自然保護連合の『IUCN絶滅危惧種レッドリスト』では、危機ランクに指定されています」
個体数を減らしているアイアイに対し、上野動物園では何か取り組みをされているのでしょうか。
「当園は、マダガスカル国立チンバザザ動物園と、アイアイの共同研究に取り組み、マダガスカル野生動植物グループ(※1)の一員として、飼育技術の向上、遺伝子の多様性を保持しながら、飼育繁殖をする協力園として取り組みを続けています」
飼育をしつつ、アイアイの保護活動をされていたことを初めて知りました。
「現在はアイアイの展示を中止しているので、展示が再開されたら、アイアイの姿を見にきてくださいね」
上野動物園の公式ホームページでは、おやつを食べるアイアイの姿などが動画で視聴できます。おやつを器用にもぐもぐ食べるアイアイはなんとも愛嬌抜群でかわいいです。上野動物園で、元気なアイアイを見られる日を楽しみに待ちたいと思います。
(注1)マダガスカル野生動植物グループ
マダガスカルの野生動植物保全を目的とする非営利団体(国際NGO)。世界中の野生動植物の専門家や動物園関係者などが、マダガスカルの貴重な動植物の絶滅を防ぐために、現地や動物園などと連携しながら保全活動を行う。
【上野動物園】
東京の都心部にありながら自然とその景観を維持している都市型の動物園。約350種3,000点(2020年9月30日現在)の動物を飼育している。
<文/瀧戸詠未>