一般的にも、親の大反対を押し切って結婚するカップルは少なくないし、親から反対されたら断念すると考える人もいるだろう。どちらにせよ、成人しているのだから、結婚は双方の意志のみで成立させることができる。
「私の場合、学歴の違いから親に結婚を反対されました。私が大学院を出ていて、彼が高校中退だったから。
一時期は“不良”だったらしいけど、その後、職人としてまじめに働き、周りからの信頼も得ています。努力して高卒認定試験にも受かっている。親が反対するのはわかっていたけど、父が『おまえを高校中退の男と結婚させるために大金を費やして育てたわけじゃない』と怒鳴ったときに、私は親に背こうと思いました。
私が同学歴の人と結婚すれば、父は『金をかけたかいがあった』と思ったのでしょうけど、それって逆に親としておかしいと感じたから。いつか子どもにかけたお金を返してもらおうとでも思っていたんでしょうか。親への不信感が高まった一瞬でしたね」
33歳のとき、3歳年下の彼とふたりだけで婚姻届を出したユウカさん(38歳)はそう話してくれた。それから5年、ふたりの子にも恵まれ、結婚生活は順調そのものだという。
「彼とはほとんどケンカもしたことがありません。子どものめんどうを見るのは彼のほうが上手だし、料理も上手。私はもともと家事育児より外で働くほうが向いているみたいです」
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大反対した父親にも、夫はときどき孫を見せに行く。最初の子ができたとき、病院にユウカさんの両親を呼んだのは夫だ。
「結婚前、夫が父に会いに行ったとき、顔を背けて目も見なかった父を夫は恨んではいなかった。それどころか出産を知らせ、病院の玄関に出迎えた。帰り際、父は目に涙を浮かべて『許してほしい』と夫に言ったそうです。
こういう話も父から聞きました。夫は『自分がこうしてあげたんだ』ということはいっさい言葉にしない」
親の言いなりにならず、自分の目を信じてよかったとユウカさんは言う。そう、結婚も、あるいは離婚も自分の意志であれば後悔はしないはず。すべての女性たちが、自由に自分の意志を実現させられる世の中であってほしいと思わずにはいられない。
<文/亀山早苗>
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