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これらのHSPの特徴は、不安を感じやすいという性格をもたらしてしまう。高橋眞二さん(仮名・32歳)は、彼女にこんなお願いをした。
「いつも最悪のケースを想定してしまうので、彼女の帰りが遅いと『事件に巻き込まれているんじゃないか』、遊びに行くと聞くと『浮気しているんじゃないか』って不安がどんどん膨らんでしまって……。それで、彼女にお願いして現在地情報アプリを入れてもらうことにしました。はじめは反発されましたが、僕としては彼女のことが心配なだけなんですけどね。毎日、朝昼晩と彼女の居場所を確認してます」
また、五感が鋭く音やにおいに敏感だと、生活を共にする結婚は当然ストレスを感じやすい。結婚生活3年目の木村真由さん(仮名・33歳)は、夫婦生活の悩みをこう洩らす。
「食事中、旦那が箸を置いた音が鋭く聞こえて『怒っているんじゃないか』『私に言いたいことがあるんじゃないか』と不安で具合が悪くなってしまいます。『お酒持ってきて』とちょっとしたお願いをされたときも『次から言われる前に持ってこなくちゃ』と気疲れしてばかりです」
一人の時間がないのが苦痛という木村さん。「旦那が嫌いではないけど、別れたら楽なんじゃないかと考えることがある」と話す。
木村さんはネットでHSP関連の情報を集め、セルフチェック診断を行った
このような何げない言動でも、HSPにとっては大きな悩みのタネになる。Ryota氏の元にもそんな相談が多いという。
「先日も、主婦の方からこんな相談がありました。『旦那とはなんでも話せる関係で、私は愚痴でもなんでも話しています。でも旦那はあまり自分のことを話さないので、私ばかりが聞いてもらって大丈夫なんでしょうか』と。些細なことかもしれませんが、当事者はとても悩んでしまうのです」
HSPチェックリスト(アーロン氏の著書より串崎氏が抜粋)
・他人の気分に左右される
・忙しい日が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所に引きこもりたくなる
・明るい光や強いにおい、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
・騒音に悩まされやすい
・短期間にたくさんのことをしなければならない場合、混乱してしまう
・一度にたくさんのことを頼まれるのが嫌だ
・あまりにもたくさんのことが自分の周りに起こっていると、不快になり神経が高ぶる
・生活に変化があると混乱する
・仕事をするとき、競争させられたり、観察されていると、緊張していつもどおりの実力を発揮できなくなる
【メンタル心理カウンセラー・Ryota氏】
自身もHSPで、HSP向けのサービス「HSPの教科書」を運営し、アドバイザーとして月100件以上の相談に乗っている。
【心理学者・串崎真志氏】
関西大学文学部教授。専門は臨床心理学。著書に『
繊細すぎてしんどいあなたへ-HSP相談室』(岩波ジュニア新書)など。
<取材・文/週刊SPA!編集部>