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磯村勇斗と阿部サダヲ、人妻との恋を好演。名ゼリフ連発の『恋する母たち』

生活を失いそうなセレブ妻に熱い言葉

 一方、蒲原まりは、弁護士である夫のスキャンダルでマスコミに追われていた。幼い子どもは怯え、まりは夫への怒りを隠せない。週刊誌では第二弾として政治資金流用は「顧問弁護士の指南」としてすべて暴露(ばくろ)されると予告していたのだ。  このままではすべて失ってしまう。まりは、その週刊誌で記者をしているのが杏(木村佳乃)の恋人である斉木(小泉孝太郎)だと思いだし、杏に「助けて」と電話する。  さらにまりは、自分を好きでいてくれる丸太郎にも電話をかける。ジョギングをしていた丸太郎は、まりからの電話を受け、「つらかったら子どもたちを連れてうちにおいで。あたしが全部引き受けるから」と告げた。

恋するふたりの男たちの「覚悟」

 丸太郎は、まりとは男女の関係になっていない。不倫はイヤだというまりの気持ちを尊重し、温泉宿でも睦み合い手をつないで眠っただけなのだ、残酷だよとぼやきながらも、彼はひたすら好きになった女性を大事にしてきた。  丸太郎は噺家ゆえ、気さくで一見、チャラい雰囲気も醸し出しているが、その裏で落語には真摯に向き合っている人物。いざというとき、「あたしが全部引き受ける」と言えるのは、そうした自分の生き方に自信をもっているなのではないだろうか。
恋する男たち

Paraviでは磯村勇斗ら“恋する男たち”のストーリーを配信中(画像:TBS Paravi『恋する男たち』公式サイトより)

 人妻を好きになる独身男性ふたりのありようが、このドラマに「人として」「男として」どうあるべきかという深みを与えている。  若くて直情径行型の赤坂が突っ走るのをやめ、チャラく見えた丸太郎がどっしりと腹を据えている。ふたりの男たちのある種の「覚悟」が感じられるのだ。  すんなりいかない困難な恋の渦中にいると、男女を問わず、試され続け、覚悟を迫られる瞬間があるだろう。人としての器を問われるのだ。そのとき、付け焼き刃では対応しきれない、その人の生き方そのものが露見する。人としてどんな軸をもっているのか、どういう心構えで生きてきたのか。恋にはその人すべてが出てしまうのである。 <文/亀山早苗>
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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