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渡部建の謝罪会見が“いじめ”に見えたのは、芸人として「負け」だった

人間性を見せなければ乗り越えられない

 大問題になった多目的トイレの件での質問と答えが、この会見が「つまらなかった」象徴ではないだろうか。 「ああいうトイレは体の不自由な方とか高齢者が使うトイレでしょ」とリポ-ターに言われ、「自分が最低でした」と答える。あげくは「性癖ですか」と聞かれ、一瞬、ムッとした表情を浮かべそうになったが、グッと抑えて「そう思われてもしかたがないですね」と述べた。  仮にもこの人、お笑い芸人のはず。もうちょっとうまい切り返しはできなかったのだろうか。渡部はアドリブに弱いのかもしれないが……。  会見さえすれば乗り切れるというわけではないのだ。そこは計算づくというよりは、「裸の自分の人間性を見せる」気概がなければ乗りこえられない。
原田 龍二「一湯入魂 」竹書房

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 まじめに実直に、すっとぼけた会見をしてしまった俳優・原田龍二は嫌われることもなく、すんなりと復帰している。ぶっちゃけた活動を見せた袴田吉彦しかり、妻の援護を受けながらも即日テレビでいじられ続けた宮崎謙介しかり。

「いじめ」に見えたのは、芸人としては負け

 今回の記者会見では、リポーターたちにいじめられているように見えたという声がネットに上がった。これは渡部の負けである。  意地悪な質問が来るのは想定済みのはず。それを上回る回答やキレのいい言葉を発することができなかったのは、渡部の人間としての浅さだと感じた。あくまでも個人的見解ではあるが。リポーターが笑ったら、まな板の上の鯉(コイ)の勝ちなのだ。お笑い芸人なら、それくらいのことはわかっていていいはずではなかったか。

円楽の会見は、リポーターを爆笑させた

 芸人の不倫記者会見で伝説に残りそうなのは、2016年の三遊亭円楽の会見だろう。泣いたり笑ったりしながら妻の言葉も織り交ぜ、あげく相手の女性が好きだったとまで言いきり、誰も傷つけずに「独演会」を繰り広げてしまったのだ。  リポーターたちからも大きな笑いが起こったし、彼らとしっかり向き合って「人間同士」として話している感が伝わってきた。あの時点で、もう不倫追求はされなくなるのが目に見えていた。自分の世界に引き込んだら芸人の勝ちである。 六代目三遊亭円楽 それに比べて今回の会見は、あまりにお粗末である。つまらなかった。ここは真摯に会見をしたほうがいいと判断したのかもしれないが、「芸人」という肩書きを捨てた本来の素の渡部など誰も期待してはいない。リスクを冒しても、思い切ってぶっちゃけた会見をして世間を呆(あき)れさせたほうがまだマシだった。それができないなら、事後すみやかに会見をするべきだったのである。  アンジャッシュのコントは「ふたりがそれぞれ大前提を間違っていたり誤解を抱えたりしたまま会話が進み、どんどんかみあわなさがエスカレートしていくが本人たちは気づかない」というすれ違いコント、勘違いコントが主である。渡部は今回、視聴者やファンが期待していることを根本的に勘違いしていたのかもしれない。あるいは百戦錬磨のリポーターを煙に巻くほどの芸をもっていないということだったのか。 <文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
亀山早苗
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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