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今、ミートソーススパゲティがアツい。レトロ喫茶店のコク深い味

ミートソースの名喫茶の奇妙な符合の数々

S級グルメ

珈琲王城の「ミートソースセット」

 場所を上野に移そう。アメ横から昭和通りに抜ける裏道にあるのが“王”の“城”と書いて「王城」だ。  現在のビルが竣工した’75年から同地で営業しているが、やっぱり「祖父がその前から別の場所で営業していたようで、正確な創業年がわからないんです」と3代目となるオーナー氏は恐縮している。  どうも代替わりのある本格喫茶では、店歴がわからぬものらしい。だがこちらの店のオーナーも、ミートソース愛はてんこ盛りだ。 「僕が初めて食べたのは2、3歳の頃。2代目だった父が休みの日に店に連れてきてくれたんです。ウチの子供も大好きです!」  なんと4代目までもミートソースっ子! そしてここでも麺を炒める際に、にんにく、玉ねぎ、にんじん、マッシュルームを加えている。  調理途中のナポリタンと言ってもいいほどに具だくさんな贅沢が、酷似する両店のミートソース。まさに王家の矜持である。

王家の本格喫茶に「スパゲティミートソース」あり!

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現在、入り口ドアは絶賛開放中。重厚なシャンデリアやテーブルセットなど見どころ満載な店内

 ゆで置き麺は少し太めの1.9㎜をまとめてゆで、水で締めて油をまとわせる王道スタイル。  ソースの味の構成も近い。玉ねぎと牛肉を炒めたところに、水とトマトピューレ、少量のケチャップを加えて、デミグラスソースと合わせてクツクツと煮込むのだ。  それにしても一致している。①その歴史が故に創業が不明瞭②そのことを告白する誠実な姿勢③代々継がれた正統な血脈④そこに3代通う民草(常連)⑤ボリュームたっぷりの肉量と麺量に加えて⑥炒めのときに具材を仕込むひと手間⑦ナプキンに刻字された王家の紋章(店名ロゴ)──。  この皿を間違ってもボロネーゼなどと呼んではならぬ。王家の本格喫茶には「スパゲティミートソース」と呼ぶべき格式があるのだ。 ▼珈琲王城の「ミートソースセット」 自家製ミートソースのスパゲティーセット(11:00~20:30)1000円(大盛り+200円)。珈琲、紅茶、ミルク、コーラなどのドリンク付き。時間外は単品900円。自家製ナポリタンセットも同額(すべて税込)
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喫茶店から「王道メニュー」ミートソースが消える!?
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●「S級グルメ」東京を中心としたS級なグルメ情報/インスタグラム tokyofood_srank

●喫茶軽食シーザー
東京都港区赤坂2-3-6コマツビル B1
営業時間:平日9:00~18:00(L.O.) 土日定休
※テイクアウト&Uber Eatsは10:30~20:00まで。入り口は別方向に2か所ある

●珈琲王城
東京都台東区上野6-8-15
営業時間:8:00~21:30(L.O.21:00) 不定休
※テイクアウトあり。Uber Eats等検討中。卓上には紙ナプキンの敷かれたマスク置きあり

※新型コロナウイルスの影響により、営業時間や定休日が変更になっている可能性があります。最新情報は店舗にお問い合わせください。

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