
また、3高の1つである学歴も、「自分よりも高学歴」にこだわる女性は減っています。天野さんの調査によると、2005年~2009年に結婚した大卒女性の27.8%(※)は大卒・大学院卒ではない男性と結婚しています(※マネープラス2018/02/08配信記事
「婚活女性を悩ます「学歴親ブロック」が生じる根本理由」より)
それだけ聞くと「結婚するために妥協したのね」と受け取る方がいるかもしれません。結婚するなら、自分より上か同じレベルの学歴ではないと妥協と思うのでしょうか?「親が気に入るから」と親目線の理想の夫婦像を自分の理想と思い込んでいないでしょうか? しかし、親世代と現代では、状況が変化しているのです。1985年と2019年の男女別大学進学率を比較すると、それがよく分かります。
文部科学省の学校基本調査によると、1985年の大学進学率は男性が38.6%、女性が13.7%でした。なので親世代では、男性の方が高学歴という夫婦が当たり前だったかもしれません。しかし、
共同参画2019年7月号によると、2019年では男性56.3%、女性50.1%と大学進学率の差は縮まっています。男女の学歴格差がほとんど見られなくなった今、結婚相手の学歴を重要視する女性は2015年で10.6%しかいないのです。(
第15回出生動向基本調査より)
「むしろ、大卒以上の女性をお相手の条件に挙げる男性も出てきました。女性が高学歴の男性を求めても、男性側が学歴格差のある女性はお断りという場合もあります。親世代にはなかった価値観を男性が持つようになっていることに気が付きましょう」
婚活成功のためにまず手放すべきは、「親世代の普通の家族」への執着なのです。
かつてモテる男性の条件だった3高にも変化が生まれています。内閣府の「家族形成と結婚に関する意識調査(2014年末~2015年初にかけて調査)」を元に天野さんが独自にまとめた調査によると、今の未婚女性が結婚相手に希望する条件は「居心地の良さ」が決め手のようで、3高とは大きく異なります。
<女性が結婚相手に求める条件>
1位 一緒に居て楽しいこと 80.0%
1位 一緒に居て気を遣わないこと 80.0%
3位 価値観が近いこと 78.5%
4位 金銭感覚 57.4%
5位 経済力があること 52.5%
6位 恋愛感情 46.1%
(20~39歳までの未婚かつ結婚願望がある女性516人の回答結果)
さらに、新型コロナの影響がありこの1年で結婚観は変化しました。
「
婚活実態調査2020(リクルートブライダル総研調べ)」によると、新型コロナ流行によって重視するようになった結婚相手への条件は「安定」がキーワードになっています。
<新型コロナによって変わった結婚相手に求める条件>
安定した収入があること 45.8%
安定した職業であること 42.9%
長時間過ごすのが苦にならないこと 42.6%
健康面 41.8%
これからはもっと変化が顕著になってくる時代になるでしょう。
婚活中のアラサー女性の中には「結婚してもバリバリ働きたい!それを理解してくれない男性はありえない」という方もいるでしょう。しかし一方で「男のくせにデート代割り勘ってあり得ない」と昭和の価値観で男性を査定していませんか? それって、都合がいいところだけ古い時代の女性の特権に胡坐をかいているのです。相手に求めるばかりではなく、まずは自分の結婚観も見直しましょう。
【
天野 馨南子(あまの かなこ)】
ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー
東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、1999年から同社シンクタンクに出向。専門分野は少子化対策・少子化に関する社会の諸問題。内閣府少子化関連有識者委員、地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・人口動態・女性活躍・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等

天野 馨南子
【グラフ出典先】
●夫婦の平均年齢差:天野 馨南子「初婚・再婚にみた「年の差婚の今」(下)」/ニッセイ基礎研レポート2018年5月28日号
●2015年に婚姻届を提出した初婚夫婦の年齢差状況:天野 馨南子「年の差婚の希望と現実-未婚化・少子化社会データ検証-データが示す「年の差」希望の叶い方」/ニッセイ基礎研究所コラム2017年2月20日号
<取材・文/菊乃>
菊乃
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:
@koakumamt