
当日、現れたのは明らかに自分よりも年下の男性。
「私が年齢のことに触れられたくなかったので、相手にも聞いていませんでした。正直、想像していたよりもイケメンだったので、幻滅されたかなと不安になりました。会わなければよかった……と思いました」
すると彼は「多分、僕のほうが年下ですよね? 大人の女性とあまり関わったことがないので緊張しちゃいます」と笑いながら、伝えてきたそう。それを聞き、少なくともマイナスなイメージは持たれていなさそうだと感じ、麻美さんは安堵しました。
食事をしながら話していると、好きなゲームだけでなく、読んでいるコミックや趣味も似ていたため、お互いにすぐ意気投合。2人はそれから2週間に1度のペースで会うようになりました。
彼と過ごす時間は楽しいものの、麻美さんには不安なことが。
「なにげない会話の中で彼が24歳だと知りました。彼は漠然と、私のことを20代後半だと思っているみたいで。7歳も差があることがなんだか気まずくて、実年齢をなかなか言えずにいました」
でも、このまま黙っているのも悪い気がする……。そんなモヤモヤを感じていた頃、いつものように会い、食事をしていると彼から「つきあってほしい」と告白されました。そこで、麻美さんは今しかないと思い、実年齢を伝えることに。
すると、彼は驚愕。「え、おばさんじゃん……」と漏らしたあと、「やっぱり付き合ってほしいは撤回。7歳差はさすがに厳しいわ」と言い、テーブルの上にお金を置いて去っていきました。

「すごくショックでした。老けて見えないように頑張ったのに、若く見えてもダメなんですね。年齢に見合った顔って、どうすれば手に入るんでしょうか」
そう語る麻美さんは再び、自分の顔にコンプレックスを抱き、人の目を見て話せなくなってしまいました。
「誰にも顔を見られたくないので、外出するときはできるだけ髪で顔を隠し、うつむいて歩いています。風が吹いて顔が露わになると、誰も見ていませんように……って祈るんです」
自分の顔を「好き」と言い切れる人は少ないでしょう。ましてや、心ない言葉を受けた経験があるのなら、なおさらコンプレックスを抱いてしまいます。麻美さんの苦しい心境を知ると、「他人の顔」に対する自分の言葉を見直したくなりますね。
<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291