「そして……独身のままアラフォーになったと」
「そうなんです」
「こう言ってはなんですが、ずいぶん“だめんず”ばかり渡り歩いてきたのですね」
「え? あ、そっか。
そう言われると“だめんず”ばっかりですね!」
美紀さんは元彼は何人かいるけれど、歴代彼氏から大事にされていなかったという自覚があまりありません。
そんな彼女ですが、最近地元の友達から「田中君」(仮名)という男性を紹介され会ったそうです。田中君は同い年。昨年まで東京で働いていて、関西にUターン転職してきました。
「悪い人じゃないと思うんですけどね。
“都落ち”したのかなって思うと、あまり仕事ができない人なのかなとか思っちゃって」
「都落ちって! 東京では何の仕事をしてて、今は何をしているのかとか戻ってきた理由とか聞いたの?」
「いや聞いてないです」
「
相手に興味を持ってそこは確認した方がいいんじゃないの。都落ちって決めつけなくても」
「そうですね。次に会ったら田中君に聞いてみます」
「でも、なんていうか全体的に向上心がなくてマイルドヤンキーっぽいんです。
30代の大人のデートなのに2回目のデートで行ったのが地元のイオンモールなんですよ。普通は梅田とか京都とか提案しませんか?」
田中君にまつわるやりとりから、美紀さんが今までどのように男性を評価してきたかが少しずつ垣間見えてきました。
「
普通のデートは梅田なんて思っていると、またデートのエスコートだけ上手で女慣れした“だめんず”を掴んでしまうと思いますよ。結婚生活の幸せ度合いと、おしゃれなデートスポットを知っていることって関係ないですから。あと、向上心がある男性がいいんですか?」
「そうですね。できたらそういう男性と結婚したいです」
美紀さんの理想は「会社経営者のように向上心があって尊敬できる男性か、大卒以上で公務員とか銀行員とか安定している仕事に就いている男性」なのだそうです。
そういう男性とうまくいかなかった過去から学ぶべきことがあるはずなのに、美紀さんにはそれが見えていません。
「そういう男性が、アラフォーで実家暮らしの美紀さんを選ぶメリットってどこですか?」
「え! 考えたことなかったです。そう言われたらないですね」
「田中君だって実際に美紀さんのことを知っている友達が紹介したってことですよね。紹介する人だって釣り合いを考えるでしょう」
「そうですよね……」