木材のコーナーであれこれ選んでいるMさんは、ほとんど友美さんの事をかまってくれません。
「なんか、実際会ってみたら私の事タイプじゃなくてわざと冷たくしているのかな?と思って『ごめんなさい、急用が入っちゃってたから行くね』と電話がかかってきた振りをしながら帰っちゃったんですよ。Mさん、え!って顔していましたがそのままにして」
そしてその数日後、そういえばMさんのインスタのアカウントを教えてもらったっけと思い出し、気になってのぞきにいってみると…。
「実はMさん、10歳になる猫ちゃんと暮らしていて、その猫ちゃんが老化であまり高くジャンプが出来なくなり、お気に入りの本棚の上に上がれなくなってしまったので、キャットタワーからその本棚に行けるようにキャットウォークをDIYしてあげていたんですよ」

キャットウォークを作るための木材を買いたいからホームセンターに行きたいと言えばイメージが良くなるだろうに、あえて言わない不器用なところに好感を持ってしまった友美さん。
「しかも私がデートの途中で帰った後も、なんの言い訳もしてこないで…これはもしかしたら掘り出し物の素敵な男性なのかも?と私の方から連絡をしました」
よく話してみると、Mさんは大学生の頃に彼女が2人いただけで、社会人になってからは誰ともお付き合いをした事がないのだとか。
「そういう訳であんな態度だったのかと分かりホッとしました。私も猫が大好きなので、そこからだんだんと仲良くなり、こちらから告白してお付き合いする事になりました」
今ではすっかりMさんの猫ちゃんとも仲良くなった友美さん。
「不器用で、たまに自分の世界に没頭して私をかまってくれない時もありますが、猫にも私にも本当に優しい人です。これこら徐々に結婚の話を出していこうと思ってます(笑)」
<文&イラスト/鈴木詩子>
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鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
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