しかも、日本ではシングルマザーと聞くと「男選びを間違えたせいだ」と自己責任論をふりかざす人や、「あそこはひとり親家庭だから」などと陰口を叩く人もいる。そのような差別を感じたことはあるか聞くと、「もしかしたら言われているのかもしれないけど気づいたことはない」と龍円さん。
それよりも、子どもの障害をめぐる差別のほうを感じるそうだ。

龍円さんの提案で昨年実現したインクルーシブ公園(障害のある子もない子も一緒に遊べるよう設計された公園)で遊ぶ長男ニコちゃん
「制度的な差別…というのでしょうか。
たとえば今、息子が小学1年生になって、学校側からは『
保護者が授業に付き添ってください』と言われています。仕事があるので付き添えませんと話したら、『学校で安全が確保できるのは2時間目まで』と言われ、現在中休みに下校する日々です。今、3時間目まで行けるように交渉をしているところです。
小学校は義務教育なのに、それを受けさせてもらえないんです。先生たちが差別しようと思ってしているわけではないことは分かっています。でも、大きい意味で言うと制度の差別ですよね。都議会議員として、この経験を政策に活かしたいと思っています」
ひとり親が働いて生活を支えている場合、授業に付き添うのはまず無理だろう。
最後に、ひとり親家庭をめぐって取り組んでいきたいことを聞いた。
「一番は、親が離婚したことが、子どもの不利益にならない社会にしたい。これが大前提です。そのためには、お金の面で不当に苦労することがないようにするのがひとつ。
それから、虐待の場合は別ですが、きちんと両親から愛されていることを知る権利が子どもにあると思うんです。うちも、週に何度かLINEで元パートナーに連絡を取って、『パパだよ〜』と子どもと話す時間を作っています。親権を持っていない親も、ちゃんと子育てに関わっていくような社会にしたいです」
【前回記事】⇒
元局アナの龍円愛梨さん、都議に。ダウン症のある子がいるシングルマザーだからできること
<文/姫野桂>
【
龍円愛梨】
1977年生まれ。法政大学卒業後、1999年にテレビ朝日に入社。アナウンサー、社会部記者を経て2011年退職。同年渡米し、2013年に長男を出産。2015年、シングルマザーとして長男と帰国。2017年、都民ファーストの会から出馬し、都議になる。現職 Twitter:
@airiryuen