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どうしてナプキン買えないの?日本で“生理の貧困”が起きる理由。支援者に聞く

 日本の17歳以下の子どもの貧困率は、7人に1人(『2019年 国民生活基礎調査』より)。経済的理由などで生理用品を入手することができない状態、いわゆる「生理の貧困」が問題視されています。また、経済的理由だけでなく、生理をタブー視されることや、十分な性教育が受けられない環境で、生理用品に適切にアクセスができない学生も多くいます。 image4 こういった問題を解決する目的で活動するチャリティ団体「レッドボックスジャパン」の代表・尾熊栞奈さんに、レッドボックスジャパンの活動内容や、生理の貧困について聞きました。

生理用品を購入できない学生たち

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レッドボックスジャパン代表・尾熊栞奈さん

――レッドボックスジャパンの活動内容について聞かせてください。 尾熊栞奈さん(以下、尾熊):レッドボックスジャパンは、生理の貧困を解決するために結成されたイギリス発祥のチャリティ団体です。赤い箱に集められた生理用品を学校に寄付することから「レッドボックスプロジェクト」と名付けられ、学生が安心して教育を受けられる環境づくりを目的とした活動を行っています。  イギリスでは、学生の10人に1人が生理用品を経済的な理由で購入できないというデータが出ています。生理用品に適切にアクセスしづらいことで、教育の機会を逃してしまう状況が問題視されるようになり、2017年にイギリスでレッドボックスプロジェクトが開始されました。  日本のレッドボックスは2019年に設立されました。最近では「生理の貧困」という言葉がニュースやメディアに取り上げられるようになり、問題解決に向けての大きな一歩を踏み出しているように感じます。 ――日本で活動を始めたきっかけは? 尾熊:海外の生理用品に興味を持ち始めたことがきっかけです。イギリスでは、日本にないシンプルなデザインが展開されていたり、自分の生理期間や経血量によってカスタムした生理用品が毎月自宅に届くサブスクリプションサービスが提供されていたり、生理に対するアプローチ方法がたくさんあります。調べていくなかで、先進国でも数百円の生理用品を買えない学生がいることを知り驚きました。  自分の学生時代を振り返ると、性教育を十分に受ける環境にいなかったので、生理に関する知識があまりありませんでした。突然生理がきて、保健室で生理用品をもらおうとしたときも、ナプキンを一つしかもらえなかったり、名簿に名前を書き、次来たときに返さなければならなかったり。借りるだけでハードルが高く感じてしまう学生は多くいると思います。必要なときに安心して生理用品にアクセスできない環境に不便さを感じ、同じ経験をしている学生のためにも自分が何かできることはあるのではないかとイギリスの本部に連絡を取り、レッドボックスジャパンを設立することになりました。

先進国でも生理の貧困が起きるワケ

――なぜ先進国でも生理の貧困が起きるのですか? 尾熊:生理の貧困は発展途上国の問題だけだと思われがちですが、世界中の先進国でも生理用品を経済的に買う余裕がない学生が10〜20%いると言われています。日本では生理がタブー視されていたり、隠さなければならないものとして捉えられることが多く、生理の貧困が顕在化されにくい状況にあります。  日本における子どもの貧困率は7人に1人。収入が少なく、生理用品に使うお金を後回しにしてしまう家庭があります。生理用品を買いたいと言いづらかったり、お小遣いがもらえないなど、環境的な要因でアクセスできないことで、生理の貧困が起こるのです。  性教育が遅れている日本では、生理に関しての知識が不十分なゆえに、困ったときの対処法や適切な処理方法がわからない学生が多くいます。日本で問題が可視化されないことから、なかなか問題解決に向けての取り組みが進まないのが現状です。 ――実際に学生の持つ生理に関する知識は不十分だと感じますか? 尾熊:そうですね。実際にお話をするなかで、生理に関する知識がない人が多いように感じます。生理について話しづらい雰囲気があることで、そもそも知識を得る機会がないのが現状。ですが、最近では生理や性教育に関する活動をしている学生が増えてきていて、学内の生理用品の設置や生理に対する環境改善を目的とした学生中心の団体をよく見かけます。個々の意識が変わっていけば、徐々に生理に対するアプローチも変わっていくと思っています。
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生理のある人だけでなく、すべての人が考えるべき
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