Human

「産むべきという“圧”がしんどい」と感じたら。自分の思い込みを捨てる時かも

 こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。 ライフコース 前回前々回と2回にわたり、子を持たない女性を応援する「マダネ プロジェクト」を運営する、くどうみやこさんに話を聞いてきました。  そこで感じたことは2つ。1つめは、子を持たない女性はまだまだマイノリティで、旧時代の価値観によって、想像以上に肩身の狭い思いをする人もいるという事実。  2つめは、日本の女性には、当人にもそれ以外の人にも、思い込みの圧があるなという点です。それを、言葉は悪いですが、“呪い”のようなものだと改めて感じます。  その思い込みという呪いが、20代では結婚への焦りになり、30代は出産への焦りになり、そして40代以降の子どもを持たない人には、罪悪感や疎外感といった感覚となり、その人を苦しめるのかなと。今回は、こうした呪いにとらわれず、自分らしい幸せを見つけるためにできることについて話してもらいました。(以下、「」内コメントはくどうさん)

出産や育児が賞賛されても、“圧”だと思わなくていい

「自分らしく生きる」という言葉は今の時代、女性に限らず多くの人がよく耳にする言葉。  その一方で、出産が祝福されて育児が賞賛されるのは、自然なことでしょう。社会全体として少子高齢化への危機感もあり、その空気が消えることはない。私たちが、それを“圧”と捉えてしまったり、「女性は子を産むべし」という価値観に悩んだりすることなく、自分らしさを見つけるために、できることはあるのでしょうか。 「私自身、『マダネ プロジェクト』を通じて、これまで約500人の価値観に触れて視野が広がり、考えが変わった1人です。その経験から言えるのは、いろんな立場の人の話を聞き、『女性は結婚して出産してこそ』とか『お嫁さんになるのが幸せ』みたいな、『こうあるべき』という思い込みを捨て、『私はこう思う』という自分自身の考えを少しずつ持つことが大事だということ。  子を持たない生き方は女性の人生の1つの選択肢だと思うのですが、当事者の声を聞くキッカケは現状すごく少ないです」

「産んで育てて働くのがデフォルトと思ってた」

「以前、女子大生の方々に話をする機会があったのですが、その感想の中に、『少子化だから産んで育てて働くのがデフォルトだと思っていた』という声がありました。今まで、産むことを前提として、仕事と両立するための話しか聞いてこなかったわけです。彼女の感想を聞き、これも一種の刷り込みになってしまわないかと危惧(きぐ)しました」 女性 昔は「女性は子を産んで一人前」といった価値観がありましたが、今は「子を産んで働くことを早くから準備しよう」というデフォルトに変わっているとすれば、ちょっと驚きというか、怖さを感じました。 「本来ライフコース(人生の道筋)には色々なものがあって、1つ1つを知った上で、自分にとっての最適な道を見つけていくことが望ましいです。参加者の中には、親に圧をかけられてずっと苦しかったという女性もいました。少子高齢化は社会問題ではありますが、子を持たなくても社会の一員として子育てに貢献することはできます。子がいないからと卑屈になるのではなく、もっと柔軟な選択肢を持てるように、たくさんの方の話を聞いていただきたいですね」
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「違う」をフラットに受け入れられる人でいたい
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