
九份の街並み
そして、翌日。台北から1時間ほどで行けて、映画『千と千尋の神隠し』のモデルとなった場所ともいわれている九份という街へ。バスや電車で行く方法もあるのですが、愛佳さんはいつ腹痛に襲われるか分からなかったので、比較的早く行けるタクシーで行くことにしました。
「九份はすごくよかったのですが、公衆トイレが少ないのが困りましたね……。トイレに行きたくなるたびにお茶屋さんに入っていたのですが、入る度にお茶を飲むので、もうお腹いっぱい。しかも、水分をとることですぐにトイレに行きたくなってました」
でも、赤提灯が灯るキレイな町並みを見て感動したという愛佳さんと友人。暗くなってきて、そろそろ台北に戻ろうとタクシーに乗ったのですが、悲惨なのはその後でした。
「なんと、タクシーの中にスマホを忘れてきてしまったんです。領収書をもらうのを忘れていたので、当然どこのタクシー会社なのかも分からず……。クレジットカードに海外旅行保険が付帯していたので携行品損害保障が適用されるかなと思ったのですが置き忘れには適用していなくて……スマホで撮った九份の写真は泣く泣く諦めましたね」
さらなる災難が愛佳さんを襲います。それは帰国日のこと。ツアースケジュールに書かれた時間きっちりに空港に向かった愛佳さん達でしたが……。
帰りの便にチェックインしようとすると、まさかの事態
「空港のカウンターでチェックインをしようとしたら、なんと私たちの名前が載っていないというんです。そんなはずがないと慌てて旅行会社に国際電話をかけると、なんと私達の帰国日が翌日になっていると言われました。
旅行会社から送られてきたスケジュールには2泊となっているので、飛行機の日程は完全に旅行会社のミスです。友人は休みを長くとっていたので『私はもう1泊してもいいよ~』と呑気なことを言っていましたが、私は次の日の朝から仕事なんです」
『大変、申し訳ありません。帰りの航空券代は後日すべて支払います』と旅行会社に言われて急遽、自分で当日の航空券を予約することになった愛佳さん。
「ちなみに、友達は明日帰ってもいいと言って残りました。でも、週末でなかなか空席がなくて、予約できたのは夕方の便。東京に戻って家に帰るころにはすっかり夜中になっていましたね……」
仕事があったためスマホはなかなか買いに行くことができず、結局、次の休みまでスマホなしで生活していたそうです。
この一連のトラブルに「身内の不幸と嘘をついたので罰が当たったんでしょうね……」とため息を漏らします。「旅にトラブルはつきもの」とはよく言いますが、そこまで連続して起きるとさすがに罰が当たったのかも。愛佳さんは、今では冗談でもそんな嘘は言わなくなったそうです。
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行楽・旅行のトンデモエピソード―
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<取材・文/結城 イラスト/やましたともこ>
結城
ライター・社会取材系。子育てや家庭問題、現代の生きづらさなど、社会の現実に根ざしたテーマを取材し、読者に考えるきっかけを届ける記事を執筆。