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予約なしでワクチン、1億円が当たる州も。ウソみたいな米国ワクチン事情

米国でもネット予約の当初は混乱?

 今はかなり整備されている米国でのワクチンのネット予約ですが、当初は情報がかなり錯綜(さくそう)していたよう。 「3月上旬頃でしょうか。在宅勤務中の夫から『ワクチンの当日予約ができるみたいだ』と言われて急いでネット予約したのですが、その後すぐにキャンセルを知らせるメールが届いたことがありました。なぜか2回目用の接種受付ページが誤って1回目用として表示されてしまったみたいで。まだシステムが上手く回ってないんだなとつくづく思いました」  と話すのは、コロナ前までドラッグストアの薬剤師アシスタントとして働いていた30代女性。当時は早く予約しないとすぐに埋まってしまい、その後何週間も予約が取れない状況だと聞いて、焦っていた人が多かったのだろうと話してくれました。
ワクチン接種会場のドラッグストアチェーン「CVS」店舗

ワクチン接種会場のドラッグストアチェーン「CVS」店舗

 すでに2回目の接種を済ませた40代女性によると、高齢者以外のワクチン接種が始まった当初は、郵便番号ごとに接種可能エリアが細かく分類されていたとか。接種は感染者数が増えている、もしくは減っていないエリアから順次広がっていったそうです。 「私たちの世代が接種可能になったタイミングも車で5分圏内の隣町と私の町で違い、毎朝起きたらまずネットでワクチン状況チェックすることが日課になっていました。今は、夫も大学生の長男もワクチンを接種済み。残る中学生の次男にいつ接種させるかを迷っているところです」
大手ドラッグストアチェーン「CVS」ワクチン接種の看板

大手ドラッグストアチェーン「CVS」のワクチン接種の看板

豪華クルーズや1億ドル宝くじ、ワクチン接種うながす

 しかし「予約なしで簡単に接種できる」といくら訴えかけても、ワクチン接種に行かない人が大勢いるところがアメリカの摩訶不思議なところ。そんな無関心層に対してあの手この手で打ち出す、ワクチン接種を促す取り組みも世界的に注目されています。
 例えば、前述したニューヨークの駅の特設会場では接種した人に、市内を走る地下鉄の全線乗り放題券7日分か郊外電車乗車券2回分を提供、配車サービスのUber(ウーバー)では接種会場へ行く際の無料乗車サービスを全米で実施(7月4日まで・上限25ドル)、クリスピー・クリーム・ドーナツでは接種カード提示でドーナツを一つプレゼント。
 全米で接種会場となっているドラッグストアチェーンCVSでは、7月10日までに同チェーン店舗でワクチン接種を行うか接種予約をした18歳以上を対象に、カリビアンクルーズの旅やスーパーボウルのチケットなど豪華プレゼントが当たるワクチン懸賞キャンペーンを実施しています。  さらに、カリフォルニア州では6月15日までに1度でもワクチンを接種した18歳以上の中から抽選で10名に150万ドル(約1億6000万円)を、ニューヨーク州ではファイザー製ワクチンを1度でも接種した12歳から17歳の学生に州立大学の学費が全額免除される奨学金を贈るワクチン宝くじを始めました。  筆者の友人たちは全員車持ちでUberの無料乗車券を使う必要がなく、ワクチン宝くじを行っている州にも住んでいないため、接種でもらったものは「マスク2枚(ウォルマート)」「1回接種につき5ドルクーポン(ウォルグリーン)」「何ももらわなかった(州運営の接種会場)」と特に騒ぎ立てるほどのワクチン特典はなかったようです。  涙ぐましい努力で接種率アップを図るアメリカでは、5月中旬より多くの州でマスク着用義務化が解除されています。日本にも早くそんな日が訪れてほしいですね。  <文/橘エコ> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
橘エコ
アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。
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