それから3番目の奥さんとちゃんと話す機会ができたのは、夫が亡くなった日。亡くなってすぐに電話をしました。
葬儀の日程などの事務的な話の後、自宅看護の話や亡くなった様子について、またそれまでの治療の経緯についてなどなど、ねぎらっていただきながら会話を交わしているうちに、気づけば1時間も話し込んでいました。波長が合うのか、ポンポンと言葉が出てきて、話が途切れないのです。
私も夫の亡骸と向き合いながら家で1人きりでいるのは苦しく、そもそも夫を亡くしたという事実を受け止めきれていなかったこともあり、情緒が不安定でした。そんな状態のときに、人と話ができることは大変ありがたかったですし、会話をしながら笑えている自分に安心したのを覚えています。
このとき、ずっと勝手に抱えていた前妻に対しての印象は、180度変わっていたのです。
それからコロナ禍になり、さらに次子の受験なども重なり、なかなか会えない状況が続いたのですが、夫の葬儀から約1年後、ついに3番目の奥さんと再会することとなりました。
当然、共通の会話は亡き夫のこと。彼女が夫と知り合ったのは夫が30代のときで、バリバリ働いていた頃です。当時の夫は、仕事はできるけれどハラスメント気質だったらしく、かなり社内で嫌われていたそう。私が知っている夫は全くそんな傾向がなかったので、意外でした。
ただ、バカ正直で熱くて愛情深くて突っ走るところは変わっておらず、彼女とのなれそめを聞いて、「その性格は昔からなんですね~」とお互いで爆笑。昔の一夫多妻制の頃の妻同士はこんな会話をしていたのでは、と想像してしまいます。