介護士が見た、自殺に失敗した人の“その後”。「寝たきりは、想像する姿と違う」<yuzuka×よしむら香月 前編>
越えられそうにない夜を、過ごす人がいる。
まだ希望を持つべき人たちが、次々に命を絶っていく。厚生労働省は、「自殺はその多くが追い込まれた末の死だ」と、言い切った。
私は普段から、精神科で看護師として働いていた経験と、自分自身が自殺未遂をした当事者であるという目線から、自殺防止の啓発活動を行なっている。今回の企画では、この「自殺」について、さまざまな視点から掘り下げる。
特殊清掃員である小島美羽さんと対談した前回に続き、今回は「自殺を図ったが死に切れなかった人はどうなるのか」という部分について、実際に終末期の病棟で介護士をしながら、漫画家として活動をしているよしむら香月さん(@tuki_no_kodomo)と対談した。
【前回の記事】⇒女性の自殺急増。それでも私たちは“死にたい気持ち”を肯定する<yuzuka×小島美羽>
対談のきっかけは、彼がツイートした『自殺を考えている人へ』という4ページの漫画だ。
「最近、ウチの病院に入院される方で若い患者さんが増えています。大体14、15歳くらいの思春期が多く、皆、意識がありません。つまりいわゆる植物人間。彼らは皆、自殺失敗者です」
と始まるこの漫画では、自殺を図ったが死に切れず、一生残る後遺症を負ってしまったり、脳死状態になってしまった人の、実状が描かれています。この漫画でよしむらさんは、「考え方やそれに伴う選択肢は十人十色」としながらも、「自損行為にはリスクを伴うことも知っていただきたい」と呼びかけています。
【漫画を読む】⇒漫画をタップすると次の漫画が見られます
世の中に絶望して、生きることを放棄したくなっている人が、この日本では、あとをたたない。
2020年、日本の自殺者数は11年ぶりに上昇し、前年を上回る2万1081人になった(4.5%増)。男性は前年より23人減ったのに対して、女性は935人も増えて7026人が自ら命を絶った。コロナの影響や、著名人の相次ぐ自殺も原因となっていると見られている。これは、異常事態である。
終末期病棟で働く介護士が見たものとは?
Twitterに投稿された漫画「自殺を考えている人へ」
この連載の前回記事