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コロナ下で祖母の墓に行けないと嘆いていたら…不思議な体験に思わず涙

頻繁に起こる不思議な現象にドキッ

「それは突然のことでした。出勤前に慌ただしく身支度をしていると、いきなりふっ……っと懐かしいおばあちゃんの匂いを感じたんです。お日様に干したふかふかの布団のような、ちょっとぬか漬けの混ざったような、安心するあの匂い。  私は朝食をとらないし、家にはぬか漬けもないし、布団も干していません。驚きつつも懐かしいような、勘違いでもなんだか嬉しいような、ちょっと心が軽くなるような気持ちでした」 マスク姿で電車通勤をする女性 不思議な感覚に包まれながらも、仕事に追われ、深夜にようやく帰宅した吉田さん。スーパーの半額シールが貼られたお惣菜を買っているとき、また“ある違和感”をおぼえました。 「視界の隅に、何度もおばあちゃんらしき姿がふわっと浮かぶんです。でも都内のスーパーだし、なによりおばあちゃんは亡くなってるし、ありえないじゃないですか。ハッキリ見えるわけではなくて、ぼんやりと、でもなんとなくおばあちゃんだなって分かるというか。生前と変わらない優しい笑顔でニコニコしているんです。勘違いでも、なんだか泣けてきちゃって。何度も昔を思い出して感極まりました」  そして、極めつけは就寝中のこと。ふと、頬にぬくもりを感じて……。 「仰向けで寝ていると、まるで誰かに撫でられているように頬がじんわりと暖かくなったんです。頭に優しく触れて、そのまま頬っぺたまで優しくなでてくれる。まさにその撫で方は祖母でした。小さいころに一緒に布団に入って、私が眠くなるまで撫でてくれる。怖いというより、なぜか昔に戻ったような気持ちになって、ぐっすりと朝まで眠り込んでいました」

「おばあちゃん、ごめんね」が、「ありがとう」に変わった

 一連の不思議な体験を経て、吉田さんにはある思いが生まれました。 「全部私の勘違いかもしれないし、そうじゃないかもしれない。おばあちゃんに会いたい、実家に帰りたいという気持ちがあまりにも高まったせいかもしれません。ただ、私の目に映るおばあちゃんは、どれも優しい表情で、見守ってくれているような優しさを感じました」 おばあちゃん 今では、お墓参りの代わりに、部屋の隅にずっとおばあさんと遊んでいた“けん玉”を飾って手を合わせているという吉田さん。スマホに保存しているおばあさんとの画像を見ては、定期的に昔を思い出しておばあさんの好物のお菓子や、お茶をお供えしているそうです。 「自分勝手な解釈かもしれませんが、コロナ下で帰省できない今の私の状況を理解して、受け止めてくれているような……。おばあちゃんの存在を近くに感じたのはほんの数日です。でも、それまでずっと悔やんでいた、『実家に帰れなくて、手を合わせられなくてごめん』という“ごめんなさい”が、“ありがとう”に変わりました。それだけで、すごく救われた気がしました。きっとおばあちゃんも、そう言われた方が嬉しいですよね」  県をまたぐ移動を控えるよう言われている今、法事やお墓参りなど、従来の形での思いの伝え方は難しくなっています。大切なのは方法や手段よりも、故人を思う気持ちです。形式にとらわれずに、大好きなおばあさんを笑顔で思う、ゆかりさんの気持ちはきっと伝わっていることでしょう。 【他の記事を読む】⇒シリーズ「夏の事件簿」の一覧はこちらへどうぞ <文/赤山ひかる イラスト/朝倉千夏>
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