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Vol.21-3 妻が弁護士らに洗脳された?“モラハラ妄想”で離婚を迫られた男性の告白

このままだと、あなたを殺してしまう

 ある夜のこと。暴れて興奮状態になり、手を付けられなくなった初美さんが小林さんに言った。「このままだと、私は徹くんを殺してしまうかもしれない」。初美さんは自らの足で警察に向かった。 ぼくたちの離婚 Vo.21 #3 自分の中に棲む怪物を飼いならせないなら、宿主ごと檻に入るしかない。初美さんはそう悟ったのかもしれない。  ところが、ここでまたも初美さんの男性恐怖症が邪魔をする。 「権威的な男性が怖い初美は、男性警察官からの『何しに来たの?』という問いかけに、つい自分が被害者だと言ってしまったんです。これも精神疾患あるあるですが、本当はそうではないのに、自分が被害者だと思い込んでしまう。結局、警察官からはシェルターに避難したらと提案されるだけで、帰されてしまいました」  小林さんは警察での状況を、朝方帰宅した初美さんから聞いた。 「帰宅した初美は明らかに様子がおかしくて、ずっと泣いていました。ごめんなさい、徹くんを悪者にしてしまったの、と」  少し落ち着いた初美さんは、小林さんに向き直ってこう言った。 「ふたりでもう一度、結婚式をしてくれませんか? ふたりだけの結婚式を南の島でやりたいの」  小林さんと初美さんは新婚旅行に行っていなかった。初美さんの病状が落ち着いたら南の島に行こうと、以前から約束していたのだ。  しかし、その願いは叶わない。  数日後、またも初美さんの父親がマンションを訪れ、小林さんが外出中に初美さんを連れ去ってしまう。帰宅すると、1週間分のカレーの作り置きとご飯のレトルトパック、そして置き手紙がテーブルに置かれていた。父親に抵抗できないと観念した初美さんが、最後に示した小林さんへの真心だった。

人格が変わってしまった妻

 小林さんは初美さんにすぐ電話するが、応答してくれない。その後、明らかに混乱気味のメールは届いたが、いまいち状況がつかめない。1か月後、ようやくまともな連絡が来る。  初美さんは、某県の精神病院に入院していた。  初美さんは父親に連れられてメンタルクリニックを受診し、「夫のモラハラで精神に異常をきたした」ことにされ、精神病院に入れられたようだった。それゆえ、小林さんは初美さんに面会することができない。ただ、初美さんは病院に内緒で小林さんに電話もメールもくれた。  しかし、病院にいるあいだに初美さんの人格は徐々に作り変えられていった。 「最初の頃はずっと『徹くんは悪くない』と言ってくれていましたが、1か月もすると、口調が変わってきたんです。『お前がやったんだな!? お前が私をこんなふうにしたんだな?』って、僕を口汚く罵るようになりました写真はイメージです 小林さんがあとで調べたところによると、当時の初美さんは、病院の担当医や看護師から毎日のように『旦那さんからモラハラやDVを受けていたんでしょう』と吹き込まれていた。それを初美さんが否定したり、小林さんとの電話やメールがばれたりすると、強い薬を飲まされ、2、3日は意識がもうろうとして動けなくなっていたという。 「言ってみれば病院の“プログラム”によって、初美は僕にモラハラを受けたと信じ込むようになってしまいました」  なお、精神病院に入れたのは初美さんの父親だが、その後父親は、面会はおろか、連絡のひとつも寄越さなかったそうだ。 「彼は娘がこうなってしまったことを自分の責任にしたくないだけで、娘に関心はないんです。娘を壊したのは僕ってことにしたいだけ。それさえ叶えば、娘がどうなろうと知ったことじゃない」  その後、初美さんは病院を脱走した。担当医に対する不信感だったようだが、詳細はわからない。  ただ、病院はそのことを小林さんに知らせなかった。小林さんがそれを知ったのは、ある弁護士事務所から調停を起こされたからである。小林さんのもとに届いた書面には、こう書いてあった。 「会社の経理書類を返してほしかったら、モラハラしたことを認めろ」  そこに、初美さんの名前はなかった。
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謎の弁護士の存在
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