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Vol.21-3 妻が弁護士らに洗脳された?“モラハラ妄想”で離婚を迫られた男性の告白

少年をハグする女性

 もう1枚の紙片には、イラストと短い文言が書かれている。 「初美の部屋に残していった荷物の中に、彼女がいつも肌身離さず持ち歩いていた手帳がありました。僕は中を見たことがなかったんですが、初美が出ていったあと中を開いてみると、僕に暴力をふるったあとに自分を見つめ直す文章や決意などが、びっしりと書かれていたんです」  初美さんは、不断の努力で自らを治そうともがいていた。 「その中に挟まっていたのが、この紙片です」  女性が泣きながら、小さな男の子を背中からハグしている。初美さん自身の筆によるイラストだ。そこに、こんな言葉が書き添えられている。 「徹くんは私の宝物です。一生大切にします。いつもごめんね。ありがとう。 はつみ」  直筆に込められた思いの強さに、圧倒された。 「こういうことを書ける人間なんです。純粋で、心がきれいで」

紙片にだけ残る妻の“本心”

 疾患のせいで自分の意思が覆い隠され、時に記憶までなくして暴れ、本心とはまったく異なる言葉を発してしまう。愛する人を傷つけてしまう。それを初美さんは自覚していた。  だから、描いた。自分に向けて。小林さんへの愛と、謝罪と、感謝だけは忘れてしまわないように。心に黒く分厚い雲が覆って自らを見失ってしまっても、これを見れば必ず自分の本心が、あの純粋な気持ちが思い出せるように。 写真はイメージです 人に見せるあてのない、肌身離さず持ち歩く手帳に入っていたということは、つまり、そういうことだ。  イラストの女性は初美さんだろう。小さな男の子は――。 「これを見つけたときは、もう、ね……」  小林さんは言葉をつまらせた。 ぼくたちの離婚 Vol.21 いつか南の島で #3】 <文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>
稲田豊史
編集者/ライター。1974年生まれ。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。著書に『ぼくたちの離婚』(角川新書)、コミック『ぼくたちの離婚1』(漫画:雨群、集英社)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)。「SPA!」「サイゾー」などで執筆。 【WEB】inadatoyoshi.com 【Twitter】@Yutaka_Kasuga
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