「最近、イタリア発祥の“マリトッツォ”が流行っているとテレビで見て、さっそくコンビニで買って食べてみたんですよ。クリームたっぷりで、オレンジの風味が意外と大人味で美味しかったです」というA香さん(40歳・主婦)。
そんな時にふと、小学生の時からの幼なじみのK子さんを思い出しました。
「K子はイタリアの男性と結婚して一児をもうけて、今はシチリアにいるので『今、日本ではマリトッツォが流行っているんだけど知ってる?』とマリトッツォの写真を付けて久しぶりにLINEしてみたんですよ」

すると、親戚やその友人達とビーチでくつろぎ中だったK子さんからすぐに返信が。
「『そうなの?今隣にいる義兄の妻がローマ出身で、ブリオッシュのちょい硬めに生クリームをたっぷりいれるのがオリジナルだって言ってるよ!』と教えてくれました。私がコンビニで買ったやつはマスカルポーネクリームだったけど、本場は生クリームみたいです」
そして「この写真みたいなマリトッツォは食べた事ないや。シチリアでは、クリームやチョコレートを入れて揚げる、揚ドーナッツみたいのをマリトッツォと呼んでいるよ」とK子さん。
「へ~!と思い、今度は、日本のネット記事には『イタリアでは、マリトッツォとカプチーノの朝食が一般的』と書いてあるよとK子に送ってみたんです」
すると「ローマでは、マリトッツォを朝食に食べる事もあるみたいだけど、普通のブリオッシュの方が一般的だよ」と返ってきたので、実はあまりメジャーな食べ物ではないのかな?と疑問に思ったそう。
こんなに流行るぐらいだから、てっきりマリトッツォは日本でいうと豆大福レベルの知名度だと思い込んでいたA香さん。
「そうK子に言ってみたら『う~ん、豆大福級にメジャーではないけど、各地方で愛されているような…銘菓ひよこや、ありあけのハーバーや、博多通りもんみたいな感じかな』と言われて、なるほどって感じで」

「ハーバー復活20周年ありがとう記念缶10個入(ショコラクルミ)」(画像:ありあけオンラインショップより)
ちなみにフィレンツェでは、クリーム入り揚げドーナツをボンボローネと呼ぶらしいです。
「この後、K子がありあけのハーバーを食べたくなったと辛そうにしていました(笑)あの味を思い出しちゃったみたい」
マリトッツォのおかげで久しぶりに幼なじみと盛り上がれたA香さんなのでした。
【他のエピソードを読む】⇒
「実録!私の人生、泣き笑い」の一覧へ
<文&イラスト/鈴木詩子>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop