ベストの流行が20年ぶりに復活。タンスの片隅から取り出してみては
『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。
ファッションには流行りすたりがあります。
変化する主なものはシルエットなのですが、そのほかにも色、そしてアイテムがあります。
色で言えば、日本ではここ数年、くすんだグレイッシュトーンやニュートラルカラーが多く、どの店舗でも似たような色合いの衣服が並んでいます。一方、アメリカやヨーロッパでは去年あたりから、くすみなど一切ない「カーミット・グリーン」と呼ばれるカエルのような緑や、蛍光色のようなピンクや黄色などがあらわれるようになりました。
これらはそれぞれ「その色が流行っている」ということを示し、時代が変わればまた変わっていくものです。
もう一つはアイテムの流行です。アイテムにも流行りのアイテムというものがあります。
例えばレギンスです。80年代、レギンスはスパッツと呼ばれ大流行し、その後、何年間かは見られませんでしたが、現在は新たにレギンスと呼ばれるようになり、復活しました。
流行は、それに敏感な一部の人たちが取り入れるところから始まり、3年から4年かけて一般の人たちへと広がります。そして最終的には、量販店の売り場にそのスタイルが並び、小さな子供やお年寄りまでも着用するまでになると、そこで「おしゃれに見える期間」が終わります。
忘れられたアイテムの復活は突然やってきます。デザイナーがコレクションで提案し広がる場合もあれば、自然発生的にストリートで広がる場合、また誰か有名人の着用に影響される場合もあります。
去年あたりから復活したアイテムがあります。それがベストです。
私の記憶だと、90年代、メンズライクなスーツの流行とともに、ベストが、大流行ではないにしろ、ある程度は流行りました。
流行るとはどういうことかというと、多くのメーカーがそれを作り、市場で十分な量の供給がなされ、誰でも容易に買って着用することができる、ということです。90年代、ベストはその位置にあり、一定数の人たちはそれを買ったと記憶しています。
しかし、すべての流行りものの運命と同じように、ベストはいつしか忘れ去られた存在になり、20年ほどは多くの人の記憶の層、あるいはタンスの片隅に潜伏していました。